豊岡市は1日、通勤に鉄道やバスを利用する「e通勤」プロジェクトを本格的にスタートさせた。存続が危ぶまれている地域の公共交通機関維持が主な目的で、市職員が率先して乗車率を上げる。自動車利用を減らすことで二酸化炭素削減も狙っており、初日から全職員の3割に当たる約500人が路線バスや鉄道、自転車などで職場に向かった。
 但馬では昨年10月、「全但バス」(本社・養父市)が経営難などから、全路線の約3割を休止。豊岡市は休止路線で市営バス「イナカー」の運行を始めたが、「1便当たり1人超」という存続基準を達成できない路線があるなど、利用は伸び悩んだままだ。こうした事態を打開しようと導入したのが「e通勤」。「e」にはエコ、エブリデイ、エブリワンとさまざまな思いを込めた。4月からは職員モニター制度をスタート。自動車通勤からの切り替えを促す具体策を募り、JRとの乗り継ぎをスムーズにする市街地巡回バス(コバス)増発や全但バスのダイヤ変更など、条件整備を進めてきた。9月末までに全職員へ参加を求めたところ、自動車通勤をやめた245人を含め、507人が「e通勤」に。職場近くにバス停がないなど条件に合わない職員を除くと、7割の職員が取り組む。
 同市中央町の市役所の出勤風景も様変わり。全但バス、鉄道との接続を考えて増発したコバスや自転車で出勤した職員らが次々に姿を見せた。自動車からバス通勤にした同市但東町の男性職員(37)は「朝30分早く家を出るのは大変だが、地域にとって大切な交通手段を守るため、住民の手本となって頑張りたい」と話していた。また、中貝宗治市長も出勤は原則、バスを利用する。市は民間企業にも参加を呼び掛ける方針で、11月から新たにバス通勤を始める従業員に対し、事業所を通じて定期代の3分の1を助成することにしている。(宮下裕史)

同記事では,豊岡市において,通勤時に鉄道・バスの利用を行う取組を開始したことを紹介.同取組については,同市HPを参照*1
同「プロジェクト促進のため」の「環境整備」としては,「通勤・通学定期券を」持つ人の「コバス利用を無料化」,「全但バス」における「バスダイヤの改善」,更に「市内事業所にも「e通勤プロジェクト」へ参加」してもらうよう,「マイカー通勤からバス通勤への転換に伴う負担の3分の1を市が助成する制度」*2の整備が図られている.2009年9月25日に開催された市長記者会見では,質疑応答のなかでも,「市職員説明会を開催」し「公共交通機関を守ろうと説明」が行われ,「職員には,職務命令として公共交通機関に乗れと言っているのではなく,原則公共交通通勤にするという姿勢を示し,その理由を説明し,理解を求めた結果,職員がe通勤に参加してくれるということになっています」*3とも紹介.
2008年8月8日付の本備忘録でも取りあげた,富山県における「エコ通勤」の取組.職員の皆さんのマイカー利用のための「自粛」行動に向けて金銭的誘因から考えてみたものの,同市の場合,上記市長説明にもあるように「説得」によって実施(事業者に対しては,金銭的誘因を設計されていますが).必ずしも「頑健(robust)に設計」*4されているわけではないものの,同記事では「7割の職員が取り組む」ともあり,その効果は高く,興味深い.要経過観察.