松江市は、市民からの要望などに素早く対応するため、6月に市民生活相談課に設けた「伺います係」について、相談事例などをまとめ、13日から市のホームページで公開する。また、6日からは、市民と直接かかわる機会の少ない部課の市職員を同係で研修させ、市民の信頼にこたえられる職員の養成を目指す。
 同課によると、8月末までの3か月間に計764件(1日あたり約11・7件)の相談が寄せられた。そのうち、522件(約68%)で、職員が出向くか電話対応、面談などによって処理を終えており、82件(約11%)で担当課が近日中に処理するという。一方、130件(約17%)はかかわりのある国や県と調整中で、30件(約4%)が個人間の問題のため市の対応は不可能という。
 ホームページでは、これらの相談状況のほかに、「自宅前の道路の陥没を直してほしい」「庭にタヌキが入り込む」「近所の人が野焼きをしていて困る」などといった、よくある相談についての対応例などを紹介。市民に困りごとの解決に役立ててもらう。
 一方、研修は本庁の課長補佐級と係長級の約70人が対象。3月下旬までの毎週火、水、木曜日に同係の職員とペアを組み、現場に出向いたり、電話や窓口で対応したりする。同課は「『全職員が伺います係』をキャッチフレーズに、市民の声に直接耳を傾けて問題解決を図り、親しみの持てる市役所にしたい」としている。

同記事では,松江市において,2009年6月に設置された「全員が伺います係」の取組状況を紹介.相談事例を同市HPにて掲載されるとともに,同市職員の研修の一環として,同係での業務を担当する方針であるとのこと.興味深い.
1969年に松戸市による「すぐやる課」設置以来の「住民に向けた統合化」*1の系譜に乗る,2009年6月4日付の本備忘録でも取りあげた同市の同係の取組.その淵源ともなる松戸市の「すぐやる課」は,2009年10月2日付の読売新聞の報道によれば,本日をもって「開設40年」*2を迎え,いわば「四十而不惑」と「こわいものがなくな」*3る年を迎えている.「すぐやる課」では,「当初は道路補修など土木作業の要望が多かった」ものの,「今はハチ退治が中心」となり,更には「要望も多様化し,家の掃除など対応できない依頼も相次いでいる」とある(不惑でも「ハチ退治」は,やはりこわそうですね).「同課に寄せられる要望」は現在「年間1万件以上」となり,「受理するのは近年,3〜4割にとどまる」状況にあるという.先達の経験からは,やはり同記事でも紹介された同市同係が直面されている課題認識と共通されているようでもあり,大変興味深い(本日同市で「すぐやる課 40周年記念式典」*4が開催されるともあり,是非とも参加して,お話を聞きたかったなあと後悔).
一方で,「すぐやる課」を紹介された同記事では,同課が受理しなくても,「「すぐやる精神が役所内に広がった」ことで,土木作業の要望は直接,担当の道路維持課などが対応することが増えた」との分析も示されている.なるほど.同記事の同市同係における,同係への研修を通じた「住民に向けた統合化」の取組の庁内への波及状況は,要観察.

*1:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)179頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*2:読売新聞(2009年10月2日付)「松戸市役所すぐやる課40歳、最近はハチ退治中心

*3:宮崎市定『現代語訳 論語』(岩波書店,2000年)22頁

現代語訳 論語 (岩波現代文庫)

現代語訳 論語 (岩波現代文庫)

*4:松戸市民会館HP(催し物ご案内松戸市民会館ホール)「すぐやる課 40周年記念式典