鳩山由紀夫首相が政治主導で地方分権改革を推進するため、首相直属の「地域主権戦略会議」を設置する方針であることが7日、明らかになった。政府の地方分権改革推進委員会に代わって分権改革をけん引する組織として、月内にも設置を閣議決定する。
 分権委は来年3月まで任期を残しているが、週明けの9日に地方税財政改革に関する最終の第4次勧告を鳩山首相に提出し事実上、役目を終える。このため原口一博総務相が表明した国の出先機関の原則廃止や、民主党衆院選マニフェストに盛り込んだ補助金の一括交付金化などに取り組む政治主導の新組織を早期に設置する必要があると判断した。
 戦略会議は首相が議長を務め、原口氏ら関係閣僚と地方自治体の首長、有識者で構成する。自公政権では、首相を本部長に全閣僚がメンバーの地方分権改革推進本部が改革の方向性を決め、分権委が勧告で具体策を示してきたが、戦略会議は双方の役割を併せ持つことになる。
 戦略会議は下部機関として、事務局となる「地域主権戦略室」を置き、将来的には同室を「戦略局」に昇格させる方向で検討している。分権委は、丹羽宇一郎委員長(伊藤忠商事会長)以下、有識者自治体首長ら7人が委員を務めているが、中央省庁の抵抗で、勧告の実現は不透明な状況だ。

同記事では,「地域主権戦略会議」が設置される方針であることを紹介.
同日付の時事通信によると*1,「同会議の事務局機能を担う「地域主権戦略局」(仮称)を内閣府に設置する方針」ともあり,「来年の通常国会への法案提出を目指」さえている.あわせて,「それまでのつなぎの組織として「地域主権戦略室」を月内にも設ける予定」ともあり,当該「室長には逢坂氏が就任」されるとのこと.2009年9月20日付の本備忘録でも取りあげた,「地域主権室(仮称)」構想が具現化された内容と理解することが適当なのだろうか.
下名個人的には,同府内に設置されている「地方制度」に関する「改革論議」の老舗的「主要舞台」*2である地方制度調査会との間の審議の場をめぐる路線選択に関心.大きく分けると2つの路線が想定されそう.
まずは,同調査会が継続され設置・開催されつつ,同会議が併設されることにより,いわゆる「「多極分散型」分権論議*3の路線選択を想定される.もう一つは,政府税制調査会自民党税制調査会との「二元化していた従来の税制調査会を一元化」され,これにより「政府の税調というのははっきり申せば数が多くて,利益代表的な人が結構いたわけでありますが,今回はそういうことを全くなくして,責任を持って税制を考えてくださる皆様方だけで構成する」*4体制として,その構成*5が改組されたように,同会議と地方制度調査会の二頭立て体制を改めて,「一元化」を路線もある.同路線は,更に,地方制度調査会は非開催のまま,制度としては残置しつつ,同会議のみで地方分権改革論議を進める線もある.更には,老舗である地方制度調査会という名称を同会議の名称へと看板を掛け替え,その構成を改める線も考えられなくもない.
「未完の「分権改革推進体制」」*6とも解されきた「改革推進体制」が,「返上」(63頁)となるか,要経過確認.

*1:時事通信(2009年11月7日付)「4次勧告後「地域主権戦略会議」設置へ=民主・逢坂氏が明らかに

*2:大杉覚「行政改革と地方制度改革」西尾勝村松岐夫『講座行政学第2巻 制度と構造』(有斐閣,1994年)287頁

制度と構造 (講座行政学)

制度と構造 (講座行政学)

*3:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)206頁

地方分権改革 (行政学叢書)

地方分権改革 (行政学叢書)

*4:内閣府HP(その他の施策税制調査会会議資料)「第1回(平成21年10月8日開催)議事録」2頁(藤井会長発言)

*5:内閣府HP(その他の施策税制調査会)「税制調査会の設置について」(平成21年9月29日閣議決定

*6:大杉覚「分権一括法以降の分権改革の見取り図と今後の展望」『都市問題』第100巻第8号,2009年8月号,63頁.