甲州市は部長職を廃止し、現行の5部15課を16課に再編する。各課を市長直轄の部署とすることで、意思決定の迅速化を図るのが目的。幹部ポストの削減で人件費を削減する狙いもある。来年度から移行する予定で、関連する条例案を2日開会した12月定例市議会に提出した。
 市によると、機構改革に伴い、廃止する部長職は総務企画、市民生活、福祉保健、観光産業、建設の5ポスト。ほとんどの課は現行のままで変わらないが、環境課は環境政策課、観光課は観光交流課、農林商工課は産業振興課に名称を変更する。一方、税務課の収納特別対策室を独立させて収納課を新設。税収確保に向け、滞納税の徴収率アップに取り組む。部長職の廃止に伴い、人件費は年間4500万円ほど削減できる見込み。
 現職の部長5人のうち4人は本年度末で退職する予定。残る1人は給与の等級を維持した上で降格する見通し。市は職員適正化計画に基づき、職員数の削減を進めており、2009年4月現在の職員数は387人。05年度の合併当初から47人(10・8%)減らした。計画最終年度の11年度には376人に抑制する計画で、市は少人数で業務効率の良い組織を検討していた。幹部ポストの見直しをめぐっては、韮崎市が07年度から部長制を廃止。大月市は05年度末に廃止したが、本年度から復活させている。
 一方、この日の本会議では会期を22日までの21日間と決めた後、田辺篤市長が機構改革に伴う市行政組織条例案など13件を提出した。一般質問は11、14、15の3日間行う。

同記事では,甲州市において,現行の「部制」を廃止し,「課制」へと移行する方針であることを紹介.
同記事にもあるように「現職の部長5人のうち4人は本年度末で退職」され,「1人」が「残る」ため,同職員に対しては,「給与の等級を維持した上で降格する見通」とある.そのため,給与表上の級に関しては,現行の「7級制」*1は継続され,「退職」により実質的な意味合いで,「人件費は年間4500万円ほど削減」に至る模様.
「縦方向の階層を減らす」「フラット化」.これにより,「縦方向の意思決定が簡素化・迅速化される」*2ことが想定されるものの,暫し観察されうる,中間職の「中抜き」によるフラット化ならぬ,同市の場合,首長の直近下位職を廃止することによる,いわば「上抜き」(又は「上飛ばし」)によるフラット化の取組.いずれにしても,市長・副市長の「直属部下数」が「増大する」*3ことにもなり,同職等による「統制の範囲(span of control)」の拡張にはなりそう.また,2009年11月21日付の本備忘録でも取りあげた神奈川県の機構改革の取組のように,機構の細分化への傾向性もみられつつあるのだろうか.興味深い.
下名個人の関心からは,同市が開催している「部局長会議」と「課長会議」*4間での,各会議への付議事案手続,両会議がもつ機能の腑分,そして,両会議の構成員における異同・整合性確保の様相は,要経過観察(是非,お話しを伺いたい取組です).

*1:甲州市HP(市長部局総務課)「甲州市の給与・定員管理等について」(平成20年度)3頁

*2:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)177頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*3:前掲注2・礒崎初仁・金井利之・伊藤正次2007:177頁

*4:甲州市HP(市長部局総務課)「「甲州市部局長会議について」及び「甲州市課長会議について