出雲市の長岡秀人市長は四日、施政方針にもとづき、全事業をゼロベースで予算査定する取り組みとして、市幹部で組織するゼロベース評価プロジェクト会議と、外部委員を含むゼロベース評価委員会を設置する考えを示した。市が実施する事業としての妥当性や費用対効果などの観点で精査を重ね、予算編成に反映させる。
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 市議会本会議で、板垣成二市議(清風会)の一般質問に答えた。 プロジェクト会議は、両副市長と、総合政策、総務、財政の各部長と、政策、企画、人事、総務、教育政策の各課長ら十人あまりで組織し、今年度から始動。新年度当初予算案の編成に向け、各課から今月中旬頃までに上がってくる予算要求書と評価シートをもとに、行政改革推進課と財政課が原案をつくってプロジェクト会議にかけ、想定される約千五百事業の中から精査し、新年度当初予算案の編成に反映させる。
 予算査定を進める際の観点としては、▽その事業が市が関与すべき事業か▽費用に見合った効果があるか▽住民サービスに対する適正な負担となっているか││の三つの視点を挙げている。評価委員会は来年度の設置を見込み、有識者や、市民からの公募委員らで組織。▽民間と行政の役割分担▽外郭団体の経営改革と市の関与のあり方▽住民利便施設の統合を含めたあり方││などを柱に検討作業を進め、来年夏頃をめどに提言のとりまとめを要請したいとしている。
 評価委員会の提言内容は、翌年度の二○一一年度以降の予算編成に反映していく考え。プロジェクト会議や評価委員会での審議内容と経過に関する情報は、具体的な手法を今後つめながら、できるだけ公開していきたいとしている。

同記事では,出雲市における,予算編成の取組方針について紹介.同市の同取組の詳細に関しては,現在のところ,同記事限り,残念.
同記事によると,「両副市長」「総合政策,総務,財政の各部長」と「政策,企画,人事,総務,教育政策の各課長ら十人あまりで組織」された「プロジェクト会議」を設置し,「予算要求書と評価シートをもとに」に,「行政改革推進課と財政課が原案」を策定し,「全事業をゼロベースで予算査定」するとのこと.
「厳しい財政状況と多種多様な行政課題が山積する今の時代においては,プロジェクト単位で根本から検討して比較することは,限られた時間の中では現実的ではない」「実行できたとしても,既得権ゼロとした場合の反発は大きい」として,「シーリングによる予算の策定を何年か続けて,その間にゼロベース予算の理念を組み込む方式が現実的な一つの手法」*1とも解されることがあった「ゼロベース予算」.嘗てのように,「事業計画の立案と予算編成とを同時に行い,事業目的に対して複数の方法について費用便益分析を行い,最適事業を選択し,その事業について複数の財源水準に見合った行政サービスの予測を行い,優先度の高いものから財源見合いいっぱいまで採用する方式」*2としての用法が想定される「ゼロベース予算制度」にいう「ゼロベース」の含意とは異なり,より明瞭に「既存に事業であってもゼロから見直す」*3という含意として,「ゼロベース」という「ドクトリン」*4が採用されることも観察されそう.要確認.

*1:吉田博・小島卓弥『自治体の予算要求 考え方・つくり方』(学陽書房,2009年)30頁

自治体の予算要求 考え方・つくり方

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*2:紀内隆宏・編著『実践・予算編成 第二次改訂版』(ぎょうせい,2005年)30頁

実践・予算編成―予算編成のテクノロジー

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*3:長谷川淳二「予算編成のトレンド」『財政運営システムと予算の新展開』(ぎょうせい,2007年)152頁

財政運営システムと予算の新展開 (シリーズ 地方税財政の構造改革と運営)

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*4:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

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