「弁当の路上販売はルール違反です」。東京都心のオフィス街でランチタイムのサラリーマンらが愛用している弁当の路上販売について、東京都中央区は来年1月から販売業者の指導を強化する。業者の多くは都条例に基づく「行商」の届け出をしているが、本来は路上に立ち止まっての営業はできない。同区は衛生上の問題や、近隣店舗からの苦情を指導の理由とするが、懐事情の厳しいサラリーマンらへの影響は少なくなさそうだ。
 東京・日本橋中央区)のオフィス街。高層ビルに挟まれた路地は平日の昼休みになると、さながら「屋台村」に変貌(へんぼう)する。パラソル付きのリヤカーに並んだ弁当は、幕の内からカレーまでメニューも豊富。いずれも500円前後で、サラリーマンやOLらが次々と買い求める。週の半分は利用するという男性会社員(50)は「最近小遣いが減らされた身には心強い味方。月末は特に助かる」と話す。

ソウル市は6日「歩道上の営業施設物への管理などに関する条例」改正案を来年1月から施行すると明らかにした。
「歩道上の営業施設物」は、ソウル市の許可を得て営業中の街の売店や靴の修繕屋のことで、現在約2700店にのぼる。暗い瓦の色が塗られていて「S−SHOP」という文字が記されている。街の屋台は該当しない。屋台は原則として所轄の区役所に申告さえすれば営業できる。
改正案は罰点を科す基準を新設した。禁止項目別に10〜30点ずつ罰点を科す方式だ。禁止行為が摘発されれば、是正命令や原状回復の命令だけ下していた措置を罰点制に強化し「撤退」できるようにしたのだ。ソウル市の金秉煥(キム・ビョンファン)街路環境改善担当官は「禁止行為に対して是正命令を下しても、1〜1カ月後には再び違反行為を行うなど実効性が落ち、罰点制を導入することになった」と説明した。
売店で食べ物を調理、販売する行為に対しては、1回摘発時に罰点30点を科す。食べ物の調理・販売で摘発される件数は年間約150〜200件にのぼる。食べ物は、事前の承認を得た上で、ホットドッグ、ハンバーガー、サンドイッチ、のりまきなど調理が完了された製品を持ってきて、温めて販売する程度は許可される。
現行の規定上、売店許可の際、営業品目の提出は義務付けられていないことから、いったん許可を受けた後、天ぷらやトッポッキなどを調理し、販売してきたのだ。売店の外部に商品を過剰に陳列し、外に出て営業行為を行う場合、罰点20点が科される。売店を、事前承認なく15日以上にわたり閉店または直系家族以外の人に運営を委ねた場合も罰点を科す。
許可期間中に累積された罰点が100点以上になる場合、契約を更新できず、120点を超えれば即刻撤退させられる。同じ違反で3回摘発されても撤退となる。ソウル市は管理担当者だけでなく、市民団体や主婦のモニタリンググループも運営する計画だ。売店の契約期間も従来の2年から1年に減らし、毎年運営者の財産を審査、適法かどうかを決める。

両記事では,路上での食品販売に関する監視指導体制について,中央区ソウル特別市の取組を紹介.
前記事では,中央区において,路上でのお弁当販売へ監視指導の取組方針について紹介.同取組に関しては,同区HPを参照*1.同記事でも紹介されている,監視指導の対象となるのは,「人力により移行しながら販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む)」業であり,「菓子」「アイスクリーム類」「魚介類(生きているものを除く)及びその加工品」「豆腐及びその加工品」「弁当類」「ゆでめん類」「そう菜類」*2を販売し,「食品の調理又は加工はでき」ないと,東京都の食品製造業等取締条例第2条に規定されている「行商」.同業を行ううえでは,「行商(ワゴン等による販売)によるときは主たる営業地の保健所への届出」「自動車による販売等をするときは仕込場所等の管轄する保健所の営業許可」*3が必要となる.
中央区保健所行への「商届出件数」は,2006年は248件,2007年は264件,2008年は213件,2009年は305件と,2008年を除き,漸増傾向にあり,一方で,「行商等監視指導件数」は,同様にこの4年間では,2006年は690件,2007年は978件,2008年は1,056件,2009年は937件と,2007年からは900件超へと監視指導対象の増加傾向を窺うことができる.監視取締に際しては,「無届」「鑑札等の不携帯」「衛生基準違反」「不適切な温度下での保管」とともに,同規定では,「移行しながら」であることが要件とされていることから,「行商を逸脱し,本来食品販売等の営業許可が必要な移行することなく特定の場所で留まって営業する状態」*4に対して「監視指導」を強化する模様.
後記事では,ソウル特別市を訪問させて頂くと,しばしば利用もさせて頂く「天ぷらやトッポッキ」が調理され販売されている「歩道上の営業施設物」への規制について紹介.罰点制度の導入とのこと.同店舗においては,「食べ物は,事前の承認を得た上で,ホットドッグ,ハンバーガー,サンドイッチ,のりまきなど調理が完了された製品を持ってきて,温めて販売する程度は許可される」ものの(朝食を兼ねてよく食させていただきました),「売店で食べ物を調理,販売する行為に対しては,1回摘発時に罰点30点を科す」と報道される(え,トッポッキが,路面での「食べ歩き」ができないの,と驚き).同市の場合は,これらが,路面に固定されている店舗であることから,その監視指導は比較的簡易に実施できそうではあるものの,中央区(及び東京都)の場合,その対象は,上記条例に基づき,「移行しながら」業を営む方々となるため,そのモニタリングの観点からは,「必要なときだけ」「介入すればいい」とされる「火災報知器型監視(fire alarm oversight)」というよりも,「自ら全て」の「領域に目を光らせて監視する」とされる「ポリス・パトロール型監視(police patrol oversight)」*5がは不可避ともいえ,一定のモニタリングコストも想定されそう.
両国(自治体)間での監視指導形態の比較的な観察も,興味深そうな観察課題.

*1:中央区HP(くらしに便利な情報保健所・保健センター食品衛生)「路上での弁当販売に関する監視指導を強化します

*2:東京都HP(東京都例規集データベース)「食品製造業等取締条例」(昭和28年10月20日,条例第111号)

*3:前掲注1・中央区

*4:中央区HP(くらしに便利な情報保健所・保健センター食品衛生)「弁当等の行商に関する衛生管理について」(東京都福祉保健局健康安全室長,19福保健食第2519号,平成19年12月10日)

*5:北村亘『地方財政行政学的分析』(有斐閣,2009年)179頁

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)