政府は15日の閣議で、国が全国一律の法令で地方自治体の仕事を縛る「義務付け」の見直しや、国と自治体が対等な立場で話し合う「国と地方の協議の場」を設置する法律の制定などを明記した地方分権改革推進計画を決定した。計画に基づき政府は、来年の通常国会に関連法をまとめて改正する「地域主権推進一括法案」を提出する。
 廃止、縮小する義務付けは計121項目。焦点だった全国一律の保育所の床面積基準は、政府の地方分権改革推進委員会の勧告の一部実施とし、待機児童の多い東京などの大都市に限って緩和。公営住宅の整備や入居者の収入に関する基準などは勧告通り見直し、自治体が独自に基準を定められるようにする。
 鳩山政権は分権委の勧告に基づき、地方側が要望していた104項目を優先的に廃止、縮小するとしていた。しかし勧告通り見直しは36項目、一部実施は34項目にとどまり、地方側からは不十分との批判が出ている。見直す義務付けは、地方要望以外の51項目も含めた計121項目。。

政府は15日、国が自治体の業務を縛る「義務付け」の見直しを柱とする地方分権改革推進計画を閣議決定した。自治体から改革要望が強い104項目のうち、地方分権改革推進委員会の勧告通りに見直すとしたのは、公営住宅の整備基準など36項目で、一部見直しが34項目となった。地方が要望した分以外も含めると、見直しは121項目。政府は同計画を踏まえ次期通常国会地域主権推進一括法案を提出する方針。分権委は国による義務付けのうち、約4000項目を問題視しており、政府は今後も見直しに取り組む考えだ。 
 勧告通りに対応したのは、▽1戸の床面積は19平方メートル以上などとする公営住宅の整備基準や入居収入基準(月15万8000円以下)を条例に委任▽道路の構造基準を条例に委任−など。一部見直しは、保育所に関する基準などで、厚生労働省保育所の面積基準を都市部に限り緩和するとしたが、人員配置の基準や調理室を必ず置くよう求める規制は国の画一的な基準が残った。公立学校の学級編成基準や教員定数は今後の検討課題とした。
 同計画には、「国と地方の協議の場」や、地方分権改革を進めるため発足した「地域主権戦略会議」の法制化も明記した。

政府は15日、国が自治体の仕事を全国一律の法令で縛る「義務付け・枠付け」の見直しなどを盛り込んだ地方分権改革推進計画を閣議決定した。地方側から権限移譲の要望が強い104項目のうち、公営住宅や地方道路の整備基準など36項目について政府の地方分権改革推進委員会の勧告通り見直す。計画を受け、来年の通常国会地域主権推進一括法案を提出する。

政府は15日、地方分権改革推進法に基づく「地方分権改革推進計画」を閣議決定した。
 国が法令で地方自治体の仕事を細かく縛る「義務付け・枠付け」に関し、地方が見直しを求めた104条項のうち、36条項を地方分権改革推進委員会の勧告通り見直すなどの内容だ。政府が来年の通常国会に提出する「第1次地域主権推進一括法案」に計画を反映し、実現を図る

同記事群では,2009年12月15日に閣議決定された『地方分権改革推進計画』について紹介.
本備忘録では,2008年5月29日付では『第1次勧告』,同年12月9日付では『第2次勧告』,2009年11月10日付では『第4次勧告』と,首相に提出された勧告に対する報道状況を紹介(なお,『第3次勧告』に関しては,同委員会における了承と首相提出との間に時間的な相異があったため,2009年10月8日付と,一記事のみの紹介).同委員会の審議結果として,『地方分権改革推進計画』の閣議決定に関しても,各紙の報道内容を記録(ただし,2009年12月15日付の本備忘録でも取りあげた,地域主権改革会議の第1回開催及び同回への同計画案の提出に関する報道もあり,閣議決定自体に関する報道は,やや限定的な模様,残念).
同委員会の審議及び勧告内容に関しては,その実現性よりも,「政治主導で決断されないかぎり実現できないもの」*1に関する議論に重きを置かれたためか,同記事群にも紹介されているように,閣議決定された『地方分権改革推進計画』の掲載内容は,主に『第3次勧告』の内容を中心に,更に精査された事項を閣議決定.同計画の内容に関しては,内閣府HPを参照*2
下名個人の関心としては,本備忘録でも,断続的に,2008年9月23日付同年11月13日付2009年11月6日付の各本備忘録でも記録し,本年,執筆の機会を頂いた各拙稿*3内にて言及させて頂いている,基本構想制度設置に関する地方自治法第2条第4項への対応.
同勧告を拝読すると,「市町村の基本構想の策定義務に係る規定(2条4項)は,廃止又は「できる」規定化若しくは努力義務化する*4と明記されており,結論としては,同規定が廃止とされるのか,「できる」規定とされるのか,「努力規定」とされるのか,今後の改正地方自治法案まで待たねばならない模様.ただ,「廃止又は「できる」規定化若しくは努力義務化」された場合でもあっても,個別自治体では,①「積極的」な基本構想・総合計画制度の策定「廃止」路線,②「慣性」による基本構想・総合計画制度の策定「継続」路線,③「積極的」な基本構想・総合計画制度の「改定」路線の3路線選択が想定されそう*5(もちろん,類型としては,④「慣性」による基本構想・総合計画の策定「廃止」路線も想定されなくもありませんが).
加えて,上記の「本日の散歩」においても記した,下名のお話に対してもご質問を頂いた内容を踏まえると,「廃止」以外での「「できる」規定化若しくは努力義務化」という2つの制度選択が進められた場合,同法同条同項にいう「議会の議決を経て」に関する規定についても「「できる」規定化若しくは努力義務化」とされるのか,又は,「基本構想を定め」た場合には,「議会の議決を経」ることは「義務付け」ることとなるか,これもまた,制度設計上,重要な争点とは想定されるものの,現段階では判然とはしない.例えば,前者を同法の改正案上は選択された場合であっても,個別議会においては,同法第96条第2項に基づき「前項に定めるものを除くほか,普通地方公共団体は,条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものを除く.)につき議会の議決すべきものを定めることができる」として,その議決事項と位置づけられるとの判断を示される傾向が想定されなくもない.更に,その場合,2009年10月30日付の本備忘録でも紹介した三重県議会における検討の如く,議決対象を,基本構想に止まらず,基本計画は勿論,実施計画等までも,その対象拡大も検討される可能性も考えられそう.
同法改正案の具体化の過程及び個別自治体,そして,個別議会の動向は,要経過観察.

*1:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)209頁

地方分権改革 (行政学叢書)

地方分権改革 (行政学叢書)

*2:内閣府HP(地域主権計画等の閣議決定)『地方分権改革推進計画』(平成21年12月)

*3:松井望「総合計画制度の自由度と多様性」『自治体法務Facilitator』Vol.24.2009年10月号,21−22頁,松井望・長野基・菊地端夫「自治体計画をめぐる「基本構想制度」の変容と多様性の展開」『年報自治体学会22 自治体計画の現在』(第一法規,2009年)95−101頁

自治体計画の現在 (年報自治体学)

自治体計画の現在 (年報自治体学)

*4:前掲注2・内閣府2009年:10頁

*5:前掲注3・松井望2009年:21-22頁