政府の地域主権戦略会議(議長・鳩山由紀夫首相)は3日、首相官邸で第2回会合を開いた。会合では、鳩山政権の地方分権改革の指針となる「地域主権戦略大綱」(仮称)を6月に策定するため、委員の中から主要な検討項目ごとに担当主査を選任した。
 首相はあいさつで「国と地方の在り方を抜本的に解決する会議として位置付けたい」と、戦略会議の役割を強調した。この日は国の出先機関改革について、担当主査となった北川正恭早大大学院教授が「可能なところから実施することも考える必要がある」と指摘。出先機関の権限や人員の地方への移譲を一部地域で、先行的に行うことを検討すべきだとの考えを示した。戦略会議では今後、出先機関改革のほか▽国が地方の業務を縛る「義務付け」改革▽都道府県から市町村への権限移譲▽国から地方へのひも付き補助金の一括交付金化−などを議論する。

政府は3日の地域主権戦略会議(議長・鳩山首相)で「国と地方の協議の場」を法制化する「新法案」と「地域主権改革推進関係法案」を了承した。
 5日に閣議決定し、国会に提出する。参院選までに策定を目指す「地域主権戦略大綱」の具体案作りへ、「義務付け・枠付けの見直し」「基礎自治体への権限移譲」「国の出先機関改革」「『ひも付き補助金』の一括交付金化」を議論する4作業班の設置も決めた。
 新法案は、民主党衆院選政権公約マニフェスト)で、国と地方の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に変える象徴と位置付けたものだ。国と地方の代表者が「地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画・立案・実施について協議」と明記、単なる意見表明でなく、参画を目指す内容にした。首相が会議の招集権を持ち、自由に出席できる一方、地方側が首相に会議招集を求める権利も認めた。
 地域主権改革推進関係法案は〈1〉「地域主権改革」の法的定義と戦略会議の位置付けを明記した内閣府設置法改正案〈2〉国が自治体の仕事を法令で細かく縛る「義務付け・枠付け」を廃止・縮小する一括法案――からなっている。

両記事では,地域主権戦略会議の開催とその審議結果を紹介.2009年12月15日付の本備忘録にて記録した「地域主権戦略会議」の第2回.同回の配布資料は,同会議HPを参照*1
第1記事では,同会議における担当主査制の採用,第2記事では,2010年2月19日付の本備忘録にて,下名が個人的に紀優した,2009年12月19日付2010年1月29日付同年2月19日付の各本備忘録にて取りあげた「国と地方の協議の場実務検討グループ」による「国と地方の協議の場」の法制化案の審議結果を踏まえての審議手順に関して,同会議において,法案として「了承」されたことを紹介.「5日に閣議決定」を予定とされており,同会議が最終的な事前審査・了承の場として位置づけられている模様.
同回の同会議では,第1回の議論を踏まえてか,当初,「地域主権戦略フェーズⅡ」として「概ね平22年夏〜25年夏」を目途とされていた,「義務付け・枠付けの見直し」「基礎自治体への権限移譲」「補助金の一括交付金化」「出先機関改革」*2の諸課題に関しても,「22年夏目途」の「「地域主権戦略大綱」(仮称)の策定」*3に向けて,第1記事で紹介されているように,同会議委員からそれぞれ1名を「課題別担当主査」に「指名」され,「各課題の論点を抽出・整理」*4が図られることになる模様.同回では,現段階でのそれぞれの課題に関する論点や課題が資料として配布.「夏」が具体的にいつの月に該当するかは判然とはしないものの8月頃と見立てた場合,残り約6ヶ月の間で,これら複数の課題が「併発型」*5に審議されることが想定され,各課題の検討審議の時期をめぐる「輻輳制御(congestion control)」もまた課題となりそう.
現在では,これらの課題の審議日程については,「義務枠・権限移譲」に関しては3月に「集中審議」,「出先機関改革」に関しては,4月に「出先機関改革の論点の報告」が行われ,5月には「集中審議」が行われ,また,「一括交付金化」に関しては「3月」から「5月」間での間で「検討」*6されるとある(一括交付金については「集中審議」はなされない,ということなのでしょうか).同「検討」に際しては,上記の「課題担当主査」による「検討内容を整理し,地域主権戦略会議に資料として提出」*7「検討」場合,「運営方法については,各担当主査が検討」されるとある.ただ,その検討に関しては「検討協力者の人選を含め,運営方法については,各担当主査が検討」ともあり,「課題担当主査」が独任業務として行われるのではなく,「課題担当主査」による合議体による審議が図られることが想定はされているようでもある.ただその場合,それら合議体における「検討」の過程は公表されることになるのだろうか.要確認.

*1:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況)「地域主権戦略会議(第2回)(開催日平成22年3月3日(水)議事次第・配布資料

*2:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料4地域主権戦略の工程表(案)【原口議員提出資料】」2頁

*3:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第2回)(開催日平成22年3月3日(水)議事次第・配布資料)「資料3地域主権戦略会議の今後の進め方(イメージ)

*4:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第2回)(開催日平成22年3月3日(水)議事次第・配布資料)「資料2課題別担当主査の指名について(案)」(平成22年3月3日,地域主権戦略会議)

*5:伊藤正次「国による「上から」の分権改革」森田朗・田口一博・金井利之編著『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年),22頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

*6:前掲注3・内閣府(資料3地域主権戦略会議の今後の進め方(イメージ))

*7:前掲注4・内閣府(資料2課題別担当主査の指名について(案))