石垣市は6月1日の人事異動で「すぐやる課」を新設するなど、組織改革を実施する。これに伴う人事異動について中山義隆市長は大幅に行うとしていたが、部制の改正をも伴う大規模な組織機構の見直しを来年に控えていることから、市長部局で80人にとどめた。今回の機構改革の目玉は、中山義隆市長が公約に掲げた「すぐやる課」。市民の要望にどこまで迅速に対応できるか注目され、3人体制でスタートする。
 すぐやる課は、市民の要望に迅速に対応するための部署。市企画調整室によると、市民が相談や問い合わせをしたいとき、どこの窓口がわからない場合に迅速、的確に応える課になるという。例えば市民から電話があった場合、内容を詳しく聞き、市で対応できるものについては所管課に迅速に引き継ぎ、早期解決を目指す。また所管課がはっきりしない場合は、すぐやる課の職員が現場確認などを行って対応することになる。
 同室では「市として対応できる範囲は決まっており、自宅の清掃や庭の掃除、個人的な依頼や隣近所とのトラブルなどを解決するといったようなことは行わない」とし、「なんでもやる課ではない」と誤解のないよう注意を促している。
 課の新設にあたって中山市長は庁内公募を行ったが、課長級はゼロ、係長級で数人の応募があったという。課長について中山市長は「適切な人材を指名した」と話した。27日から2日間、同様の取り組みを行っている自治体に派遣して業務の開始に備える。すぐやる課は、2階の広報広聴課後方の市政情報センターのスペースを使う。
 このほか今回の組織改革では、健康保険課に保健事業係を新設。特定検診業務の充実強化を図るため分離新設することにした。下水道課の管理係を施設係に統合する。

本記事では,石垣市における機構改革に関する取組を紹介.本記事では,同市において「すぐやる課」が配置されたことを中心に紹介.詳細については,現在のところ,同市HPでは確認できず.残念.
2009年6月4日付及び同年10月6日付でも取りあげた,1969年の松戸市における「すぐやる課」設置を淵源とする,組織における「住民に向けた統合化」*1の系譜上の取組.本記事を拝読すると,同系譜とはややその業務内容において差異も観察できそうな部分もありそう.例えば,本記事によると,「市民が相談や問い合わせをしたいとき,どこの窓口がわからない場合に迅速,的確に応える課」,「市民から電話があった場合、内容を詳しく聞き、市で対応できるものについては所管課に迅速に引き継ぎ」を行うとも報道されており,いわば,同課が庁内における「リエゾン*2的な業務も,同課における主たる内容の模様.
同課の設置に際しては,2010年5月12日付の同紙にて報道されていたように,「公募の対象職員は課長が課長級と課長補佐級,係長が係長級と主任」の「それぞれ84人,約200人」の「対象者」に対して,2010年5月11日「から4日間、庁内で希望者を募り,志願書と自らの面接で選考」*3を試みる予定であったものの,本記事にて紹介されているように,「課長級はゼロ,係長級で数人の応募」であった,という.
同系譜に沿う「模倣導入」は,「政策立案のコストは小さい」とされる,一方で,「政策転換に伴う諸々のコストは避けがたい」*4とも整理されている.同市における同課の「模倣」的導入における「諸々のコスト」の状況に関しては,要観察.

*1:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)179頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*2:ヘンリー・ミンツバーグ『マネジャーの仕事』(白桃書房,1993年)104頁

マネジャーの仕事

マネジャーの仕事

*3:八重山毎日新聞(2010年5月12日付)「すぐやる課管理職を庁内募集 職員のやる気重視へ

*4:西尾勝『行政の活動』(有斐閣,2000年)183頁

行政の活動

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