松阪市山中光茂市長は24日、公募していた2人目の副市長候補者に、日米英の金融機関に在職した東京都中央区在住の小林益久さん(47)が決まった、と発表した。山中市長は「選考過程では6人の選考委員の中で高得点」だった、とし、選考理由については「住民の現場に入って市民の幸せに貢献しようという覚悟、次の世代へ市民や職員と一緒に松阪市を変えていく将来ビジョンが最も感じられ、自信をもって推挙したい」と期待を込めた。
 また、同市長は「能力、識見、人格がすばらしく、なぜ松阪に来てもらえたのか、という思い。財政や行政のプロになってもらう必要はなく、私や各部局から嫌われ、反発を受けるような頑固さや行動力を発揮して行財政改革やまちづくりに生かしてほしい」と語った。小林さんは早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了後、富士銀行に入行、外資系証券会社を経て同大学理工学部の非常勤講師を務め、現在は高知工科大学客員教授。同市長は「証券マン時代は債権アナリスト部門で首位に立ち、講師時代には学生が選ぶナンバー1講師にも選ばれた」と紹介した。小林さんは「これまで培ってきた経験、知識、人脈を生かしたい」と職務遂行への思いを文書でコメントした。
 6月市議会で選任同意を求める方針。全国でも珍しいという副市長の公募は同市長の公約。海外を含む125人の応募者を1次選考の課題論文で18人に絞り、2次選考では、会社員や弁護士ら16人の参加者を市民公開面接で3人に絞り、個人面接をしてきた。選考には同市長や大学教授らの選考委員会が当たった。(森山敏男)

少し古い記事となりますが(読み見落としておりました),本記事では,松阪市における副市長候補者の選考結果について紹介.
2010年1月8日付同年2月15日付同年3月14日付,同年4月18日付の本備忘録にて取りあげた同市の同職候補者公募の取組.同本備忘録の記録以降では,「第1次選考」の「合格者18人」(「うち,辞退者2人」)に対して実施された「市民公開選考会」の結果は,「合格者」は「3人」となり,「男女別」では「男性2人」「女性1人」,「地域別」では三重「県内1人」三重「県外2人」*1となる.これら「3人」の「副市長候補者」の候補者の皆さんに対しての「最終選考」が「市長による個人面接」を5月「上旬」*2に実施,その結果を踏まえての選考結果.2010年5月25日付の読売新聞によると「市議会6月定例会に選任同意案を提出」後,「可決されれば」「7月1日に就任」*3の予定.
「多くの自治体では,幹部職員は各部局の利益代表として行動する.その代わり,他部の予算のあり方についても口を挟まないという不文律がある」*4という,いわば「庁内の平和」が観察されるなか,本記事では,同職候補者が議会同意を経た後の就任の際に,市長「や各部局から嫌われ,反発を受けるような頑固さや行動力を発揮して行財政改革やまちづくり」に取り組む役回りが期待されている模様.しばし,「大胆な改革の遂行」を目的として「出向」の「受け入れ」*5が行われてきたことが観察されきたものの,現在の「憎まれ役を期待されての移入人事」*6とは,まさに外部から進められることになるのだろうか.興味深い.

*1:松阪市HP(副市長公募)「松阪市副市長候補者市民公開選考会(第2次選考)を開催しました

*2:産経新聞(2010年5月25日付)「松阪の公募副市長に高知工科大客員教授 金融界の経験生かす

*3:読売新聞(2010年5月25日付)「公募の副市長に小林氏を起用へ 松阪市 客員教授の47歳

*4:上山信一・伊関友伸『自治体再生戦略』(日本評論社,2003年)77頁

自治体再生戦略―行政評価と経営改革

自治体再生戦略―行政評価と経営改革

*5:稲継裕昭『人事・給与と地方自治』(東洋経済新報社,2000年)104頁

人事・給与と地方自治

人事・給与と地方自治

*6:前掲注5・稲継裕昭2000年:105頁