2期目がスタートした嘉田由紀子滋賀県知事と県内市町長の懇談が26日、大津市内であり、知事と市町長が県政の重要課題について議論する不定期の「自治創造会議」を定期開催とし、年4回実施することで合意した。
 同会議は2006年12月に初開催されたが、08年10月の第5回を最後に約1年半開かれていない。県関係者によると、県が財政改革の一貫で進めた事業費削減に市町側が反発し、会議が開催できなかったという。この日の懇談は嘉田知事が呼びかけ、15市町長が参加した。冒頭以外は非公開で行われた。嘉田知事は終了後の取材で、市町長側から自治創造会議の定期開催を提案されたと明らかにし、「できるだけ早く始めたい」と述べた。11日に投開票された知事選では、嘉田知事の1期目を「対話不足だ」として批判する大津、守山など5市の市長が対立候補を全面支援した経過もあり、2期目は県と市町の連携が課題になっている。

本記事では,滋賀県において「自治創造会議」が開催されたことを紹介.
2008年3月26日付の本備忘録にて,その設置に関して記録した同県における「滋賀県市町対話システム」*1の取組.同システムは,「文書往復,説明会の実施,検討の場」として「設置」された「担当部課レベル」,「県市町調整会議の開催」が主たる目的である「副知事・担当部長−副市町長レベル」,そして,本記事で紹介されている「自治創造会議の開催」が主たる目的とされている「知事−市町長レベル」での「3つからなるメニュー方式で整理」され「県市町間の重層的な議論の展開が可能となる仕組み」として設置.そして,同システムでは,「市町の事務に影響を及ぼす条例の制定・改廃県の長期構想」,「施策の基本方針その他基本的な事項を定める計画の策定・重要な改定」,「自治の基本に関わる重要な事項」の3項目を「対象」*2とされている.
同県HPを確認させて頂くと,本記事にて報道されているように,同システムの三層目に該当する「知事−市町長レベル」の「自治創造会議」に関しては,2008年10月に開催された第5回会議で止まっており,加えて,二層目に該当する「副知事・担当部長−副市町長レベル」における「県市町調整会議」についても,2008年7月の第2回会議*3で止まっている.
2008年4月15日に施行されている「滋賀県市町対話システムに関する申合せ」の第7条を拝読させて頂くと,「自治創造会議および県市町調整会議の開催」に関しては,「県または市町が必要と認めるときに調整して開催」*4とも規定.加えて,同条の「考え方」としては「県または市町の担当部課が必要と認めるときに,第三者である事務局において調整し開催」*5されると記されており,「申合せ」だけを拝読すると,県,市町のいずれかが「必要と認めるとき」という片務的な開催意向を踏まえて,上記会議の開催が可能と解することができそうではあるものの,「申合せの考え方」を拝読すれば,片務的な開催意向を踏まえつつ,「事務局において調整」され,県と市町の双方(市町に関しては,全ての市町と想定)の開催同意の獲得が前提とされているとも解することができそう.
本記事では,上記会議の未開催に関しては,「県が財政改革の一貫で進めた事業費削減に市町側が反発」され「会議が開催できなかった」とも報道.同「反発」があるからこそ,「重層的な議論の展開」を図る「必要」があるとも想定されなくはないものの,上述のように,事実上は,県と市町の双方(市町に関しては,全ての市町と想定)からの開催同意獲得,言い換えれば開催に関する「拒否権」*6を内包する手続では,その開催が不安定ともなる.本記事にて報道されているように,今後「定期開催」が常態化に伴う,その審議の内容については,要経過観察.