資源ごみを回収する目的で松江市が市内各地に設置しているリサイクルステーションで今年、空き缶や空き瓶の窃盗被害が相次いでいる。換金目的とみられ、2月以降、3か所で市民からの通報が市に何度も寄せられているという。市民がいつでも利用できるよう、ステーションに鍵をかけるわけにもいかず、市は「パトロールや張り紙で防いでいくしかない」と、対応に頭を痛めている。
 市は1998年から、市内420か所にリサイクルステーションを設置。「リサイクル都市日本一」のキャッチフレーズを掲げ、空き缶、ペットボトル、空き瓶の3種類に分けて、回収用のカゴや箱を置き、リサイクルを進めてきた。空き缶は2009年度、52万6150キロを回収。収益は約2021万円で、すべて、市の財源に充ててきた。しかし、今年は被害通報が増えている。同市玉湯町のスーパー駐車場のステーションでは今月3日夕、「空き缶を盗んでいる人がいる」と通報があり、松江署員が急行。カゴの近くにいた男(62)を発見し、窃盗容疑で現行犯逮捕した。男は黒いビニール袋を抱えており、中に337個もの空き缶を詰め込んでいたという。
 市リサイクル都市推進課などによると、このステーションでは、今年3月頃から市に何度も通報が寄せられており、以前は満杯になっていた空き缶用のカゴ(容量約40キロ)が回収時に空になっていたこともあったという。アルミ缶は1キロ80円程度で売れるため、換金目的に盗まれていたらしい。市職員がパトロール中に窃盗の現場を発見し、やめるよう注意したことも。また、同市西津田のステーションでも2月頃から、同市竹矢町でも5月頃から被害通報が相次いでおり、市は「今年は多い。他の場所での被害も考えられる」と懸念している。
 ただ、ステーションのカゴや箱に鍵をかけてしまうと、市民が自由に利用できなくなってしまうため、関係者は対応に苦慮。市は「市民が再利用を進めようと出してくれているのだし、市の貴重な財源にもなっている。個人のもうけを目的に盗むのは遺憾だ」と訴えている。

本記事では,松江市における「リサイクルステーション」における運営状況を紹介.「資源ごみ(あき缶,ペットボトル,びん)を出す場所」*1として設置されている「リサイクルステーション」の取組.「リサイクルステーション」の運営方法の詳細に関しては,同市HPでは把握できず,残念.
本記事のみの情報からは,「ステーションのカゴや箱に鍵をかけてしまうと,市民が自由に利用できなくなってしまうため」との報道からも,常時の施錠はなされていない模様.そのため「空き缶や空き瓶の窃盗被害が相次いで」おり,「換金目的」との想定されている模様.「リサイクルステーション」の利用における協力行動を想定した非施錠の方針を通じて,非協力的行動が発生する「社会的ジレンマ*2の一つの形態とも整理が出来そう.
ただ,正確には,「空き缶や空き瓶」を個人的利得から持ち出しされている方々は,そもそも「リサイクルステーション」の利用における協力行動を想定していない個人・集団である蓋然性が高いことも想定される.これらの個人・集団に対する非協力行動(又は逸脱行動)へに対する「監視と統制」を整備することで,その「コスト」という「二次的ジレンマ」*3が生じるばかりではなく,例えば,更なる予防として施錠化が図られた場合には,従来の協力行動をとってきた方々の利用の簡便さを制限するという,新たな負担を強いることにもなる.その「対応戦略」*4は悩ましい.

*1:松江市HP(環境ごみ・リサイクル)「リサイクルステーション

*2:山岸俊男社会的ジレンマ』(PHP出版,2000年)17頁

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

*3:前掲注2・山岸俊男2000年:98頁

*4:森田朗『改訂版 現代の行政』(財団法人放送大学教育振興会,2000年)153頁

現代の行政 (放送大学教材)

現代の行政 (放送大学教材)