和歌山市大橋建一市長は21日、市議会本会議で、人事委が担っている職員採用のあり方について見直しを検討する意向を示した。
 石谷保和議員(光クラブ)の質問に答えた。同市では98年にあった職員不正採用事件を受け、99年10月に同委を設置した。人事委は委員3人で構成。さらに、外部面接官3人を委嘱、委員と外部面接官が2人1組となって面接して、採用を決める。設置を義務づけられている都道府県や政令市を除くと、同市と熊本市だけが同委を設けている。大橋市長は人事委を導入した経緯に触れながら、「(現行が)決してベストの方法とは思っていない。(栄養士や薬剤師など)専門職については知識のある方に入ってもらうなどで対応できる」と述べた。【藤顕一郎】

本記事では,和歌山市における職員採用の取組の「見直しを検討する」方針であることを紹介.
「職員採用に関する権限が市長に集中したこと」も一つの要因として「不正採用を助長した」*1ことを踏まえて,政令指定都市以外では,「熊本市に次ぐ人事委員会」を1999年に設置された同市.職員採用においては,「面接試験は,委員及び民間企業の人事担当者が行」い,同面接の場では「市幹部の排除」*2が図られることで,「構成性,透明性の確保が図られ」*3てきたとも観察されている.いわば,同委員会と同採用方式を採用することで,採用過程において,夾雑する「ネポティズム*4からの「離隔距離」*5を確保されきた,同市の採用の取組.
本方針の内容は,本記事のみの報道であるため,本記事でいう「見直しを検討する」内容は具体的には判然としないものの,今後の「見直しの検討」の具体化については,同市議会の会議録*6の公開後,要確認.

*1:上野晋平「公正で透明な人事行政の実現―熊本市人事委員会・和歌山市人事委員会」財団法人日本都市センター編『自治体における公正で透明な事務執行をめざして』(財団法人日本都市センター,2009年)105頁

自治体における公正で透明な事務執行をめざして

自治体における公正で透明な事務執行をめざして

*2:前掲注1・上野晋平2009年:107頁

*3:前掲注1・上野晋平2009年:108頁asin:4904619110:det

*4:稲継裕昭『プロ公務員を育てる人事戦略』(ぎょうせい,2008年)12頁

プロ公務員を育てる人事戦略―職員採用・人事異動・職員研修・人事評価

プロ公務員を育てる人事戦略―職員採用・人事異動・職員研修・人事評価

*5:金井利之「会計検査院政策評価」『行政の評価と改革』(ぎょうせい,2002年)60頁

行政の評価と改革 (年報行政研究 (37))

行政の評価と改革 (年報行政研究 (37))

*6:和歌山市HP(和歌山市議会)「和歌山市議会会議録検索システム