広島県府中町は、第3次総合計画(2001〜15年度)の後期基本計画(11〜15年度)に市制移行の検討を盛り込む方針を決めた。「平成の大合併」の終結や単独市制に前向きな和多利義之町長の意向を受け、今後5年間のまちづくりの指針となる後期基本計画に位置付ける。
 町がまとめた後期基本計画案は、人口が1990年の国勢調査以降、市制移行要件である5万人以上が続いていると説明。「市への移行を含めた基礎自治体としての体制強化策を検討する」とする。町を取り巻く情勢の変化にも大規模商業施設のイオンモール広島府中ソレイユの開業や、町の西部を南北に貫く広島高速2号の開通などを列挙。「市に劣らないほどの成長を遂げた」としている。
 00年に就任した和多利町長の下でまとめられた第3次総合計画は当初、自治制度の在り方について「市制の導入を含めて検討する」としていた。その後、広島市との合併問題が浮上。合併の是非を問う住民投票や町長選で民意は割れた。こうした経緯から町は、06年度の総合計画計画改定で市制に関する項目を削除していた。後期基本計画は町議会からの意見聴取を踏まえ、本年度内に決定する。和多利町長は、市制移行について「議会、町民の盛り上がりがあれば全力で取り組む」との姿勢でいる。

本記事では,府中町における市制移行への検討方針について紹介.
同町の市制移行に関しては,移行要件のなかでも,「高校数などの問題」*1が整理はされてはいるものの,本記事を拝読させて頂くと,「1990年の国勢調査以降」の20年間は,人口要件に関しては,有資格自治体.そのため,総務省に設置された地方行財政検討会議により取りまとめが検討されている「「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」内での記載に倣えば,「市の要件を満たしているにもかかわらず,市にならない町村」*2の一つでもある同町.ただ,やはり,「福祉事務所の受け入れ」*3の課題もある模様.
上記の地方行財政検討会議では,いわば市制要件の「希釈化」*4とも整理が出来そうな,「規模・能力に応じた事務配分のための基礎自治体の区分は指定都市から町村に至るまで人口に着目して定めることが妥当か」という課題設定を踏まえて,「区分の移行が円滑に行われる仕組み」*5が「考え方」に止まらず,今後,区分の要件が緩和・融解等の制度改正法改正化が図られてられた場合,市制への移行もまた「円滑」に行われることになるになるものなか,要経過観察.

*1:府中町HP(議会・選挙議会だよりふちゅう町議会だより 第119号(平成22年11月1日発行))「府中町議会だより」(2011年11月1日)4頁

*2:総務省HP(組織案内研究会等地方行財政検討会議第一分科会第7回(開催日平成22年12月3日))「資料「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)(仮称)(案)」」11頁

*3:前掲注1・府中町府中町議会だより)4頁

*4:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*5:前掲注1・総務省(資料「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)(仮称)(案))11頁