江南市は4日、市職員が自覚と責任を持って仕事に専念するため、信条や理念をカードに記した「クレド(CREDO)カード」の全職員への配布を始める。市によると、自治体での導入は高松市大阪狭山市に次いで全国で3番目という。
 クレドとは、ラテン語で「信条・理念・志」の意味。職員一人一人が思いをカードに込め、責任感や市民志向の向上、結束強化につなげようという試みだ。市はこれまで、身だしなみやあいさつなど接遇についてまとめた「職員マナーブック」を職員に配布し、サービスに努めてきた。クレドカードは接遇を含め、職員の資質を高めるのが目的という。
 カードには「市民との協働」「地域と職員の人材育成」など五つのスローガンと、「あいさつ」「まごころ」など七つの約束が名札用サイズにまとめられている。カード作製に携わった業務改善研究会の阿部一郎会長は「サービスの底上げを図り、職員の自己啓発につなげたい」と話している。【渡辺隆文】

岩国市は、1日付で制定した市民憲章の全文を印刷した名刺サイズのカードを作った。全職員が名札入れに入れて携帯し、市民啓発などに役立てる。
 カードには、前文と、「大切にしたいもの それは みんなの夢 みんなの命」など五つの条文を載せている。錦帯橋のイラストも添えた。3千枚作り、公営企業を含む職員、嘱託職員計約2300人に配った。費用は約1万6千円。市民協働推進課は「市民に周知するためにも、まず職員に覚えてもらう」としている。

両記事では,江南市と岩国市の職員の方が,新たに携帯されるカードに関して紹介.
第1記事の江南市における「クレドカード」に関しては,同市HPを参照*1.同カードは「企業の「信条や行動指針を簡潔に記したもの」を持ち歩き可能なカードの形にしたもの」であり「従業員全員に配られるもの」と説明.同市では,同「カードに書かれた行動を振り返ること」を通じて「行動指針や価値基準が明確になり,職員の責任感やモチベーション,市民志向の向上,職員の結束強化に繋が」ることを目指されている模様.同カードの作成に当たっては「職員がどれだけ納得して,業務に従事するかが重要」との認識から,「職員がいかにクレドカードの作成に関わることが大切」として,「15人の公募職員による業務改善研究会」を設置し「ボトムアップ方式により」作成.作成されたカードは「三つ折にして名札用プレートに入る大きさ」に,前面には「市民との協働」「地域と職員の人材育成」「市民との情報共有」「挑戦する意識づくり」「法令遵守の徹底」の「5つのスローガン」,裏面には「あいさつ」「まごころ」「効果」「つながり」「未来」「信頼」「挑戦」という「7つの誓い」*2が記載されている.第2記事の岩国市における「市民憲章」に関しても,同市HPを参照*3.同憲章の作成にあたっては,「平成22年9月15日(水)〜平成22年10月12日(火)」の間で,パブリックコメントが実施され,「76件」*4の意見が示された模様.
両規定とも,やや一般性が高い内容とは思わなくはないものの,「道徳的費用逓減」を図るには「地域社会の基礎的価値に確実に調和」*5させるためには,本当に大切なことは,一般的にしか語れないのかもしれない.考えてみたい課題.職員行動の価値・規範の文書化とその携帯の慣行を経て,職員の日常行動が携帯なくとも「習慣」*6化へと至るかは,興味深そう.

*1:江南市HP(各課のページ行政経営課)「クレドカードについて

*2:江南市HP(各課のページ行政経営課:「クレドカードについて)「クレドカード(見本)

*3:岩国市HP(市の概要)「岩国市民憲章

*4:岩国市HP(パブリックコメント)「岩国市民憲章(素案)に関するパブリックコメント募集の結果について

*5:H.A.サイモン,V.A.トンプソン, D.W.スミスバーグ『組織と管理の基礎理論』(ダイヤモンド社,1977年)397頁

組織と管理の基礎理論 (1977年)

組織と管理の基礎理論 (1977年)

*6:前掲注5・H.A.サイモン,V.A.トンプソン, D.W.スミスバーグ1977年:395頁