熊本市政令市推進本部会議(本部長=幸山政史市長)は4日、来春予定の政令市移行に伴い設置する五つの行政区の名前について、市の行政区画等審議会が1月に答申した通り「中央区」「東区」「西区」「南区」「北区」とすることを決定した。
 市は政令市移行の閣議決定を経て、12月議会にも区名や区役所の位置を盛り込んだ行政区設置条例を議会提案する。区役所には、区民課やまちづくり推進課など8課(中央区は7課)を設け、パスポートの発給も受けられるようになる。区役所まで遠い市民の利便性を高めるため、9カ所の総合出張所と5カ所の出張所も置く。市は8−18日、公民館や総合支所など市内18カ所で市民説明会を行う。

本記事では,熊本市において,政令指定都市への移行に伴う行政区の設置に際して,各区の名称が決定されたことを紹介.同区名の選定の経緯等については,同市行政区画等審議会の答申を参照*1
「簡潔で,親しみやすく,区の特色を表し,政令指定都市熊本市」にふさわしい名称を選定する」こと,「区の一体感の醸成が図られるものを考慮し選定する」こと,「各区名は,全市的な整合性を考慮し選定する」ことの3つの「基本的な考え方」に基づき,同審議会で審議し,「区名案を広く募集することを決定」.その後,募集があった「区名候補を各区5つ選定」のうえ,「「市民の意向を把握するため,区名意向調査を行うものとする」という考え方を明記」されたうえで,「平成22年9月6日から9月27日までの3週間」で「区名案を募集」*2.「8,599件の応募」の結果,「各区とも上位2案の応募数が全体の7割程度を占め」,「各区上位2案を区名候補」とし,「残り3候補」は「応募された区名案の中から、各委員が推薦する区名案の投票を行った結果により区名候補を選定」,「各区5つの区名候補を決定」.
これらの区名の候補をもとに,「「意向調査の結果は,熊本市行政区画等審議会での区名選定における審議の参考となりますが,必ずしも応募数の多いものが選定されるものではありません.」との考え方」を示されたうえで,「平成22年12月3日から12月24日までの3週間」で,「各区の区名候補に1つだけ○を付ける選択方式」により「意向調査」を実施.「34,053通の応募」*3が集まることになる.このような留保を明記されてはいたものの,結果的には,本記事にも紹介されているように,各区ともに,同意向調査において,各区で最も多くの応募があった区名案が採用.「中央区」「東区」「西区」「南区」「北区」として,「決定」*4し,市としても採用された模様.
区割,区名が確定されていくなかで,「各種出先機能が区役所に統合」された「本庁−行政区関係」における「融合的」*5的な,一方で,2010年9月27日付の本備忘録でも取り上げた千葉市名古屋市における「市税事務所の開設」の取組のように,区役所内での統合化の「の使命は終え」*6たと解してか,個別政策の「領域別」*7の機関設置の路線を選択されるのか,今後の同市における行政区設置の検討状況も,政令指定都市制度の観察者の一人としても,要経過観察.

*1:熊本市HP(行政情報熊本都市圏・政令指定都市・合併政令指定都市・合併・熊本都市圏トップページ熊本市の「行政区の名称」の答申がありました!!)「熊本市の行政区の名称 答申書」(熊本市行政区画等審議会,平成23年1月17日)

*2:前掲注1・熊本市熊本市の行政区の名称答申書)参考資料2頁

*3:前掲注1・熊本市熊本市の行政区の名称答申書)参考資料3頁

*4:前掲注1・熊本市熊本市の行政区の名称答申書)参考資料4頁

*5:伊藤正次「行政組織の構造と変遷」財団法人東京市政調査会編『大都市のあゆみ』(指定都市市長会,2006年)224頁

大都市のあゆみ

大都市のあゆみ

*6:辻琢也「大都市制度論」横道清孝編著『自治体改革1 地方制度改革』(ぎょうせい,2004年)178頁

自治体改革 (1) (自治体改革 第 1巻)

自治体改革 (1) (自治体改革 第 1巻)

*7:金井利之「空間管理」森田朗編著『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)166頁

行政学の基礎

行政学の基礎