島の将来を担う「町役場の星」を発掘しようと、若手職員2人を全国募集した島根県海士町で、11日から2泊3日の合宿形式で候補者を絞り込む選考会が行われている。
 鍋を囲んで町の課題を議論するなどユニークな選考方法を取り入れており、志願者175人のうち書類選考を通過した20人が挑戦。5人に絞り込み、今月中に最終選考を行う。同町の職員採用は通常、筆記試験と町長らの面接で決めてきた。しかし、過疎や高齢化を乗り越えるには、多様な人材が必要と今回の採用方法を計画。5人に絞り込むまでは、各課の課長たちも選考に加わる。20人は22〜36歳で、関西や関東などから応募した財団法人職員や会社員、大学生、アルバイトら。選考の一環で11日夜には飲食店で約2時間、隠岐牛のしゃぶしゃぶや海鮮鍋を味わいながら、町の課長ら約15人と、将来取り組みたい事業などについて議論。「お年寄りが1人になっても島で暮らしていける仕組みを作りたい」「それはいい。ぜひ実行してもらいたい」などと語り合った。
 2日目の12日は主にグループワーク。生徒減が深刻な県立隠岐島前高(海士町)に生徒を集めるにはどんな仕組みを作ればいいかという課題が与えられた。20人は5グループに分かれて「部活動を頑張り、全国大会の常連校にする」「ITに力を入れる」「島の医療を支える人材を育成するために、看護や介護が学べるコースを設ける」などとアイデアを出し合った。課長たちからは「実現可能性が低い」などと“ダメ出し”もあったが、夜遅くまで議論。13日に課長たちに最終報告をする。福岡県古賀市から参加した環境調査会社アルバイト、須藤健介さん(26)は「自然や水産資源の保護に関心がある。採用されたら隠岐の自然の素晴らしさを全国にPRしたい」と意気込む。美濃芳樹総務課長は「自分たちの目で候補者を選べるのは大きい。どんな職員と一緒に働けるのか楽しみ」と話している。(佐藤祐理)

本記事では,海士町における職員選考の取組を紹介.合宿方式による選考を行われているとのこと,興味深い.同取組の詳細については,同町HPを参照*1
「職種」は「一般事務職員(高卒程度)」で,「募集人数」は「2名」.「採用スケジュール」は,まずは「第一次選考」が「平成23年1月28日(金)」に「書類選考」により実施.提出書類としては,「履歴書(高校卒から)」と「自己PR(様式自由)」の2種.後者に関しては,「自己PRの方法は自由」とされてはいるものの,「これまでご自身が壁にぶつかった際,どの様にして乗り越えたかを一つだけ,お教え下さい」と「日本海に浮かぶ離島「海士町」をどの様な島にしたいですか?教えて下さい」の「2点を明確に表現」*2することが要件とされている.
その後,本記事でも紹介されている「第二次選考」が「平成23年2月11日(祝)〜13日(日)」の「2泊3日」で実施.具体的には,「1日目」の「午後」は「町内案内(120分)」として「町内主要施設見学〜住宅環境紹介等」,そして,「夕食」が「面接官(各課長)との交流」とされている.「2日目」の「午前」には「グループディスカッション(一つのテーマで受験者同士の集団討論:5人程度)」で実施され,「午後」には,「地域交流イベント(映画上映会)の開催」され,「面接官(各課長)と一緒に上映会場や出店ブースの準備から片付けまで実施」されるという.これにより「5名程度」を選考し,そして,「第三次選考」が「平成23年2月中旬」に,今度は「1泊2日」で,「最終選考面接官(町長他3名)」による「面接試験」*3が実施されることとされている.「海士町での滞在費(宿泊,食事,移動)は」同町「で負担」*4される.
「宴会で求められるのは,新しいことを率先して計画する力と,周りを楽しませることを自らも楽しめるようなパーソナリティ」*5とも解されており,「宴会の幹事」*6経験の質問にとどまらず,実際の宴会の振舞を観察されることが,その素質を把握するえで,有益と判断されたのだろうか,非常に興味深い.

*1:海士町HP(採用情報海士町『まち役場の星』職員募集)「平成22年度(第2回)海士町職員採用試験要項

*2:前掲注1・海士町(平成22年度(第2回)海士町職員採用試験要項)1頁

*3:前掲注1・海士町(平成22年度(第2回)海士町職員採用試験要項)1〜2頁

*4:前掲注1・海士町(平成22年度(第2回)海士町職員採用試験要項)2頁

*5:大鐘良一・小原健右『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』(光文社,2010年)28頁

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

*6:前掲注・大鐘良一・小原健右2010年:27頁