堺市竹山修身市長は16日、2012年度に区長の裁量で使える予算を新設するなど区役所の権限を拡大する方針を発表した。大阪都構想を掲げる橋下知事は「区長には何の権限もなく、住民は名前すら知らない」などとして市の分割や区長公選制の導入を主張しており、竹山市長は「区役所機能の強化で市民に身近で頼れる区役所にする」と考えの違いを明確にした。
 区の財源拡大のために、市は既に、新年度予算案に区独自の街づくり事業に配分する1000万円の特別予算枠を計上済み。新たな区長裁量予算は、街づくりについて区長に要望を提案する「区民まちづくり会議」の運営や、広報業務などに充てる。現在は市が各区に配分しているが、12年度から区長が住民意見を反映させて予算要求する。規模は未定だが、11年度予算案では9億1500万円。
 窓口業務については、現在は南区にしかない子育てワンストップ相談窓口を、新年度には北区にも設け、将来的には全7区に拡大。自主防災組織への支援業務も新年度から区に移す。さらに、市幹部が重要な市政方針を決める庁議に区長が出席して意見を述べたり、市議会本会議で答弁したりできるようにする。

本記事では,堺市における区役所機能拡充の方針を紹介.同方針の詳細に関しては,現在のところ把握できないものの,2009年10月23日付の本備忘録でもその公開の取組を記録した,同市の「庁議」における「平成23年2月15日」*1の回を拝読させて頂くと,「区役所の機能強化に向けて,主に区役所の組織や財政面での権限強化、区民協働などについて関係部局で検討」されていることが,市民人権局長からの「その他報告事項」として扱われており,その概要が分かる.本記事を拝読させて頂くと,より具体的な内容が紹介されており,市長記者会見*2において説明された結果なのだろうか,同会見の公表後,要確認.
同庁議の議事録を踏まえて整理をさせて頂くと,大別すれば,組織権限,財政,地域づくりの3分野があり,まずは,「組織権限の強化」に関しては,「区長の「市長調整監」兼務や副区長の創設」,「区長の本会議出席や庁議への出席」を図ること,次いで,「財政面での権限強化」に関しては「区役所において執行する予算は,区へ予算要求権を付与」され「併せて区の裁量を活かした予算システムの検討」をされること,「区民とともに地域づくりを推進するための取り組み」に関しては,「公募委員を増やすなど区民まちづくり会議の充実,区民まちづくり基金事業の拡充」*3が検討されている模様.
2009年10月23日付の本備忘録にて記した,下名の中心的観察課題である「自治体内会議体」の観点からは,「組織権限の強化」における「区長」の「庁議への出席」は,「重要な意思決定」は「全て会議の場で集団的におこな」*4う方針を反映されてものとも整理ができ,興味深い.ただし,成員の拡大路線と,一方で,「メンバーを同じ日に,同じ時間に,同じ場所に集めることの困難さ」*5との間でのディレンマも想定されなくないものの,現在の「庁議構成員」*6に,7名の区長さんが加わられた場合での具体的な庁議運営に関しても,要観察.また,本記事内では言及されていないものの,下名個人としては,2010年1月24日付の本備忘録にて「○○監」の職名をもつ職への関心からも,同市における区長の「市長調整監」としての兼務の検討も興味深そう.
現在,同市では,同市の事務分掌規則第5条第6項を拝読させて頂くと「市の政策に係る企画及び調整の事務を掌理させるため」に「市長公室」に「政策調整監」*7をお一人配置.「市長調整監」に関しては,「区民の意向を吸い上げて市長に提言」されることや,「市政全般の基本的な方向性などをタイムリーに区民に伝えたりする役割」,「各区の重要案件等についての事業所管局長との連絡調整,地域ネットワーク構築のための特命事項」*8を担当されることを検討されている.「「はじめに職員ありき」の組織形成」*9の要素も考えられなくもなさそうではあるものの,そもそも「政策調整監」との職,職員との異同,更には,職務内容の異同,そして,「市長調整監」の配置は,果たしてどのようになるのだろか.同職の具体化に関しても,要経過観察.

*1:堺市HP(庁議)「庁議議事要旨 平成23年2月15日

*2:堺市HP(広報・広聴)「:報道 市長記者会見

*3:前掲注1・堺市(庁議議事要旨 平成23年2月15日)

*4:西尾勝行政学 新版』(有斐閣,2001年)315頁

行政学

行政学

*5:C.N.パーキンソン『パーキンソンの法則』(至誠堂,1981年)59頁

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

*6:堺市HP(庁議)「平成21年度 庁議構成員

*7:堺市HP(条例・規則・規程など)「堺市事務分掌規則」(昭和47年4月1日,規則第14号)

*8:前掲注1・堺市(庁議議事要旨 平成23年2月15日)

*9:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)62頁

官のシステム (行政学叢書)

官のシステム (行政学叢書)