県は、2011年度当初予算の編成過程について、県のホームページ(HP)で初めて公開している。どの段階で誰が、どのように判断して予算化したか、または削除したか、などを分かりやすく説明。県が目指す予算の〈見える化〉(見えるようにすること)の一環で、同様の取り組みは大阪府鳥取県で実施されている。
 HPでは、各事業とも〈1〉担当課が財政課に要求した予算見積額に対する内示〈2〉総務部長の調整〈3〉知事査定――の3段階で金額や査定の結果を明示。内示や総務部長の調整後に削除される「ゼロ査定」のほか、金額がカットされたものについては「効果的な実施方法を検討」「経費を精査した」などと、理由も添えた。大半の事業が各課の要求額で内示されているが、中には知事査定の段階で認められた政策的な事業も。個人木造住宅耐震シェルター普及事業費(300万円)や、滋賀の魅力を高める「『美の滋賀』発信事業」(812万円)などは、知事査定でいきなり認められた〈トップダウン〉の事業だと読み取れる。
 県はこれまで、秋にまとめる翌年度の予算編成方針や、その方針に基づく各課の予算要求の見積額などを公表してきた。財政課の担当者は「政策を実行していく経過を県民に見てもらうことで、県政運営についての理解が進むと判断した」と話している。

本記事では,滋賀県における予算編成公開の取組状況を紹介.同取組に関しては,同県HPを参照*1
平成23年度当初予算 予算編成過程」資料として,各部門毎の各事業毎に,まずは,「当初予算額」欄で「平成23年度当初予算案の金額を記載」,次いで,「査定状況」欄において,「内示,部長調整後,知事査定後の各段階における予算措置の金額および考え方を記載」,「説明」欄に「知事査定後の金額と内容を記載」されることを通じて,本記事が紹介されているような過程の把握を可能とされている.
2008年3月10日付同年10月25日付同年11月17日付2009年3月8日付同年3月11日付2010年9月5日付同年11月20日付同年12月3日付各本備忘録でも取り上げた,予算編成過程の公開による「透明化」*2の取組.「外側(outwards)」*3への透明化に伴い,予算編成を通じた政策課題の「可視化」*4に資することは確実ではある一方で,あわせて,「内側(inwards)」*5の透明化が高まることで,俯瞰性が確保されることも想定されなくもない.他部門における予算要求の行動や,更には,本記事でも紹介されている鳥取県2010年9月10日付の本備忘録でも取り上げた「省力型」の予算編成への移行されたように,予算編成業務自体の変化も窺うことができるのだろうか,要確認.

*1:滋賀県HP(構想計画滋賀県の財政)「平成23年度当初予算 予算編成過程

*2:大崎映二『歳入減少時代の市町村経営の実践的手法』(学陽書房,2010年)94頁

歳入減少時代の市町村経営の実践的手法

歳入減少時代の市町村経営の実践的手法

*3:Heald,Daivd.2006.‘Varieties of Transparency’Christopher Hood,David Heald(eds.)Transparency The Key to Better Governance: Oxford UP:28.

Transparency: The Key to Better Governance (Proceedings of the British Academy)

Transparency: The Key to Better Governance (Proceedings of the British Academy)

*4:平川秀幸『科学は誰のものか』(NHK出版,2010年)230頁

科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)

科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)

*5:前掲注3・Heald,Daivd.2006:28