孫の世話に四苦八苦する祖父母向けの小冊子「孫育てガイドブック」を県が作った。祖父母を対象とした子育て冊子の作成は全国の自治体でも珍しいという。県は今後もサポートを続けることにしており、少子化対策課は「育児方法を巡る世代間ギャップを埋め、パパママ世代のよき支援者になってもらえれば」としている。(福島利之)
 「今の子育て方法がわからない」「親世代とどう付き合ったらいいのか」。県の子育て相談窓口「ぎふ子育てステーション」(岐阜市)には近年、祖父母からこんな相談が相次いでいるという。共働き夫婦に代わって育児を担う機会が増えたのが原因とみられ、県はこうした祖父母を支援しようと作成した。冊子は、相談窓口を運営するNPO「くすくす」が県の委託で作成。現在主流になっている子育て方法を紹介したうえで、「昔は泣いた赤ちゃんをすぐ抱くと、抱き癖がつくといわれたが、最近は、抱かれた子どもほど情緒が安定するとされる」など、昔と今の常識の違いを説明している。
 さらに、子育て世代が抱える祖父母に対する不満についても、「妻の母が何でもやってしまい、出番がなかった」「親戚の子といつも比較される」などと具体的な声を掲載、世代間の相互理解にも役立つ内容にもなっている。2人の孫がいる古田肇知事は「私自身も我が事として勉強している」と話しており、県は今後も孫育てに関する講座を開くなどして引き続き支援する。冊子は8000部作成、県内のシルバー人材センターや市町村窓口などで希望者に配布する。

本記事では,岐阜県における「孫」育てに関する冊子作成の取組を紹介.同冊子の概要に関しては,同県HPを参照*1
「孫でマゴマゴしたときに読む本」(「孫」育て,ですから,「マゴマゴ」ということですか.なるほど)として,「共働きの夫婦に代わり祖父母が育児を担う機会が増えている中、子育てに関する世代間のギャップによるトラブル」や「孫育てに精神的な不安を抱く祖父母が増加している」との事実認識に基づき,「現在主流の育児方法や世代間の意識の違い」に関する情報を提供されることで「祖父母世代の理解を図り,孫育てや地域での子育て支援への積極的な関わりを促進」されることを目的とされた同冊子.「現在主流になっている育児方法(妊娠期・出産期・乳児期・幼児期・学童期)」,「家の危険度」の「チェック」事項,「子育て世代」と「祖父母世代」のそれぞれに「聞いた」「言われて・されて うれしかったことイヤだったこと」の紹介,「祖父母世代」も「利用できる相談窓口」「祖父母世代による地域の子育て支援の紹介」等が記述されている模様.「作成部数」は本記事でも紹介されているように「8,000冊」*2
同冊子の入手は,「老人クラブ,シルバー人材センター,社会福祉協議会,地域子育て支援拠点施設,市町村,ぎふ子育て応援ステーション,ぎふ子育てサポートステーション」において「配布」されるとともに,「希望の方」へは,「市町村窓口又は県庁少子化対策課にて配布」される,とのこと(孫もいなく,県外の者でも,頂くことは可能なのでしょうか).更に,配布のみならず,「ぎふ子育て応援ステーション」と「ぎふ子育てサポートステーション」が「平成23年度より開催」される「「孫育て講座」のテキスト」としても「活用」*3される方針とのこと.
いわば,「意識でせずにやっている」孫及び「子育て法を,目に見える技法」*4として文書化されたものとして,整理ができそうな同取組.「他者の性への配慮/関心を媒介とするある程度持続的な関係性」*5自体が希少化され,「親をする」そして,祖父母をする「経験が共有しにくくなった」*6とも解されるなかで,同冊子の効果は,要確認.

*1:岐阜県HP(県政の運営広報・広聴イベント・お知らせお知らせイベント・お知らせ_お知らせ_少子化対策課「孫育てガイドブック」が完成しました【少子化対策課】」「〜孫でマゴマゴしたときに読む本〜「孫育てガイドブック」が完成しました!

*2:前掲注1・岐阜県(〜孫でマゴマゴしたときに読む本〜「孫育てガイドブック」が完成しました!)1頁

*3:前掲注1・岐阜県(〜孫でマゴマゴしたときに読む本〜「孫育てガイドブック」が完成しました!)2頁

*4:品川知美『〈子育て〉革命』(中央公論新社,2004年)鄽頁

“子育て法”革命―親の主体性をとりもどす (中公新書)

“子育て法”革命―親の主体性をとりもどす (中公新書)

*5:斎藤純一『政治と複数性』(岩波書店,2008年)196頁

政治と複数性―民主的な公共性にむけて

政治と複数性―民主的な公共性にむけて

*6:前掲注4・品川知美2004年酈頁