平泉町は来年度から、町外の団体や個人による行政視察の受け入れを有料化することを決めた。町職員が案内や説明をした場合、視察者1人当たり、2時間で1000円を徴収する。ただし、視察者が町内で宿泊する場合は、経済効果が期待出来るとして、料金は無料にする。
 町総務企画課によると、町には「平泉の文化遺産」の保護や観光推進への取り組みを参考にしようと、毎年、全国各地の自治体や観光協会職員、地方議員など約150人が視察に訪れている。だが、対応する町側は、説明する職員の人繰りに苦労したり、資料の作成に費用がかさむなど、大きな問題になっていた。さらに、今年は世界遺産登録の可否を控えているため、視察者の増加が予想されることから、町は受け入れ費用の増加に頭を抱えていた。
 町は視察有料化による歳入を5万円と見込むが、世界遺産の登録が実現すれば、視察者が増加し、歳入が増える可能性もある。同課は「今の厳しい財政状況で、無料案内を続けることは難しい。逆に有料化することで、職員の意欲向上にもつながり、プラスの効果が出てくるのではないか」と分析する。
 一方、視察有料化の動きは県内各地で起きている。紫波町では、視察者の案内を町内のNPO法人に委託し、NPOは視察者1人当たり、1000円の料金を取っている。新エネルギー開発の視察を受け入れている葛巻町では来年度から、応対する専門のコーディネーターの育成を始める方針だ。町では年間約2500人の視察者を受け入れており、町農林環境エネルギー課は「視察の有料化を検討したい」としている。

本記事では,平泉町における行政視察に対する「有料化」の方針を紹介.同町の同取組方針に関しては,現在のところ,同町HPでは把握できず,残念.公表後,要確認.
視察の「有料化」といえば,やはり,2008年4月25日付の本備忘録において言及した,横浜市における「視察等の有料化」の取組.現在の同市における有料化の取組は,「横浜市独自のノウハウとして高い価値があると考えられる事業・取組」を対象に,これらを「横浜バリュー2010」と位置づけ,そして,「横浜バリュー2010」の「ノウハウを提供する場合に,料金を」徴収されている.本年度は,「都市デザインの取組」の1事業のみが対象されており,「35 年以上の実績をもつ本市の都市デザイン行政の手法・実績の解説等」*1がなされる,という(是非とも,聞いてみたいお話ですね).これらの視察に際して,「他自治体の職員」「民間企業・研究機関の方」「など」は,有料となる(「など」の範囲はどこまで含まれるものなのでしょうか,要確認).「1件」「1時間30分程度」の「説明」で「5,000円」とされており,「一人」増ごとに「1,000円の追加料金」とされている.また,「調査・アンケート等回答」には「50項目」迄を「1件3,000円」とある.ただし,全ての事業の視察が有料とされてはおらず,上記の「横浜バリュー2010」「横浜市民・報道機関の方」や,「他自治体等も含」む場合でもあっても,ノウハウの提供ではなく,「お互いに情報交換を行う場合」 「など」は,「有料とはならない」*2ともされている.
本記事では,「視察有料化の動きは県内各地で起きている」とも報道されており,「水平的波及」*3の様子も窺えそうな同取組.本記事を拝読させて頂く限りでは,「視察者1人当たり」「2時間で1,000円を徴収」とされ,「視察者が町内で宿泊する場合」には,「経済効果が期待出来る」として「料金は無料」の方針とされる.また,本記事を更に拝読させて頂くと,同取組では「説明する職員の人繰りに苦労」されていることや「資料の作成に費用がかさむ」ことの抑制が当該取組の目的とされているとすれば,同価格としての有料化を通じて,視察に伴う「取引コスト」*4の抑制へと資するのだろうか,要確認.

*1:横浜市HP(総務局しごと改革推進課横浜バリュー(有料視察事業))「「横浜バリュー2010」(視察等の一部有料化)のご案内」2頁

*2:前掲注1・横浜市(「横浜バリュー2010」(視察等の一部有料化)のご案内)1頁

*3:伊藤修一郎『自治体政策過程の動態』(慶應大学出版会,2002年)45頁

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

*4:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),248頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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