山形市中心部の国道112号で行われている自転車道の社会実験で、市民ら1008人を対象に行った意識調査の結果、歩行者、自転車、車の通行を区分していることについて、44.4%が「良い」と回答したことが8日朝、市内で開催された社会実験の検討委員会で報告された。「悪い」は18.1%、「どちらとも言えない」が35.3%だった。一方、実験前に比べて車で「通りにくくなった」との回答が77%に上った。
 アンケートは、山形市内在住者9割、同市以外の県内在住者1割の比率で2月23〜27日、無作為に電話番号を抽出して行った。歩行者、自転車、車の通行区分をしていることについて、全体では「良い」が44.4%だったが、通りを実際に利用している人の交通手段別(548人)に見ると、「良い」と答えた人の割合は、自転車(102人)で利用する人が最も高く67.6%。徒歩(81人)が54.3%、車(322人)は33.2%だった。逆に「悪い」と答えた人の割合は、車で利用する人が最も高く、32.6%。徒歩が12.3%、自転車が9.8%だった。検討委では、有識者や市民団体の代表者を対象にした記述式のアンケートも実施しており、11日までに結果をまとめる予定。
 この日の検討委員会では、県警察から、大沼山形本店前の交差点をスクランブル化し、歩行者の信号待ち時間の表示を付けるなどの対策を今月末をめどに実施する考えも示された。9日から、スクランブル化のためのコンクリートブロック撤去作業などを始める予定。席上、出席者からは「アンケートの質問項目が実験への賛成を誘導する内容だ」「車での通行をしやすくするため歩道の一部を狭めて荷さばき車両の停車スペースを設けるカットバックの対策を早く実施すべき」といった意見が出された。

本記事では,山形市内の国道における自転車道に関する社会実験に対する意識調査の結果を紹介.
国交省と警察」そして「山形市が実施主体」*1となる同社会実験.主たる目的は,「ほっとなる通り(十日町・本町・七日町商店街)の活性化」のもとで,「歩行者が安心して買い物や歩行できる歩道空間の確保」と「自転車がルールを守り,安心して走行できる走行空間の確保」*2を目的として,「自転車道」,「タクシーの駐車枠」の「新設」,「荷捌きスペース」の「確保」,「原動機付き自転車の逆行」の「禁止」*3を図り,「商店街のためにやっている実験」として開始されつつも,「商店街がこのままではだめになるということで,反対のご意見」*4も示されているとのことなかでの,同意識調査.本記事を拝読させて頂くと,「44.4%」が同取組への「良い」との認識が示されつつも,「車で」は「「通りにくくなった」との回答が77%」であった,という.
社会実験もまた「実験デザイン」の一つとして位置づける場合,「介入群」としての上記対応を図る場合と「対照群」*5としての非対応の場合とに区域を制御されたうえでその効果を行えることが適当とも考えられなくはないものの,「重要な要因を制御し,バイアスのないプログラム効果の推定値」*6を把握することは,実際においては困難とも考えられるのだろうか,悩ましい.

*1:山形市HP(市長の部屋市長記者会見(一覧) )「市長記者会見 平成23年1月5日

*2:国土交通省 山形河川国道事務所HP「国道112号「ほっとなる通り」社会実験

*3:前掲注2・国土交通省 山形河川国道事務所(国道112号「ほっとなる通り」社会実験)

*4:前掲注1・山形市(市長記者会見 平成23年1月5日)

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),227頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*6:前掲注5・秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉2010年:229頁