県は18日、4月1日から実施する機構改革の概要と幹部人事を発表した。総務部が担当している危機管理機能を知事直轄の「知事公室」に移管、危機管理防災課を新設。災害発生時の知事への情報伝達や、庁内調整機能を強化する。蒲島郁夫知事は「危機管理は行政組織にとって非常に重要という認識で直轄にした。東日本大震災を受けた対応ではない」と述べた。
 知事部局の7部すべてに22の局を設置。部長の権限を局長に移譲し、迅速な意思決定を図る。南関町で計画する産業廃棄物最終処分場の建設に備えて「廃棄物対策課公共関与推進室」を「公共関与推進課」に改編する。機構改革で知事部局の職員は101人減の計4415人になる見込み。主な部長人事は、知事公室長に松見辰彦・人事委員会事務局長を、総務部長に駒崎照雄・環境生活部長をそれぞれ起用。後任の環境生活部長は谷崎淳一・同部次長が昇格する。健康福祉部長には林田直志・監査委員事務局長を、農林水産部長には福島淳・同部総括審議員を充てる。

本記事では,熊本県における機構改革の取組を紹介.同機構改革の概要に関しては,現在のところ,同県HPでは把握できず,残念.公表後,要確認.
本記事を拝読させて頂くと,現在,総務部内に配置されており,5班(危機管理班,防災班,消防班,保安班,情報通信班),2センター(防災センター,防災消防航空センター)から構成されている「危機管理・防災消防総室」*1を,「知事直轄」の「知事公室」へと「移管」される模様.また,現行の「7部すべてに22の局を設置」され「部長の権限を局長に移譲」されるとのこと.「集中化の中の分散化,分散化の中の集中化」*2とも整理ができそうな同機構改革の取組.
前者に関しては,同県「熊本県庁処務規程」を拝読させて頂くと第4条第8項により「総務部に危機管理監」*3を配置されており,同職は,同規程第5条第13項に基づき「上司の命を受け,危機管理に係る調整、防災及び消防に関する事務を掌理する」ことを所掌されている.当該規定にいう「上司の命」が,現行の指揮命令経路では,知事又は副知事,そして,総務部長との2(又は3段階)を経由されることが,「規程」上は想定されていたものの,同改正により「知事又は副知事」による指揮命令へと直結された模様.
「緊急時における対応は,臨機的に完全合理性によって,瞬時に適応する過程ではなく,既存の組織構造及び技術体系によりつつ,新規の事態に対処するものである」として「既存の枠組みを用いながら,予期しない事態,新しい事態に対応した組織編成,任務を作り出していく」*4とも解されている.その場合,知事(副知事)に身近な組織構造へと再配置することを通じて,いわば,緊急時の指揮命令や対応をルーティン化を図ることもなり,その結果,やや逆説的ではあるものの,非ルーティン的な状況化における臨機応変な対応を図られることも意図されたのだろうか.要確認.

*1:熊本県HP(県庁の組織で探す危機管理・防災消防総室)「危機管理・防災消防総室業務概要

*2:田尾雅夫「開かれた市政運営」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)184頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

分権改革は都市行政機構を変えたか

*3:熊本県HP(分類でさがす県政情報県計画・条例等条例・規則)「熊本県庁処務規程(昭和36年09月01日,訓令甲第29号

*4:橋本信之『サイモン理論と日本の行政』(関西学院大学出版会,2005年)170頁

サイモン理論と日本の行政―行政組織と意思決定

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