市内で児童虐待事件が相次いだことを受け設置された横浜市の「児童虐待対策プロジェクト」は25日、最終報告書をまとめ林文子市長に提出した。
 これを受け林市長は「各部署は頑張っているが、つながりができていなかった。連携した体制をつくり、それぞれの力を発揮してほしい」と述べた。また児童相談所などの人手不足にも触れ「人の手当てや人材育成にも取り組みたい」とした。報告書では、子育て層を「健全育成層」「ハイリスク・育児不安層」「虐待層」の3層に分類。「各層は連続しており、虐待は特異な現象ではない」と指摘。その上で、対策の視点として(1)早期発見、対応(2)虐待を受けた子どもと養育者の継続的なケア(3)ハイリスク世帯への家庭訪問など虐待への移行阻止(4)地域での見守りなど発生予防(5)あらゆる関係機関の連携による組織的な対応―を提示している。具体的には、区と児童相談所との役割の明確化など組織的対応の強化、情報共有のための連携会議の整備などを挙げている。

本記事では,横浜市における児童虐待対策に関する検討結果を紹介.同報告書は,現在のところ,同市HPでは公表されていない模様,残念.同検討体制に関しては,同市HPを参照*1
児童虐待に関係する局」と「その対応に直接携わる児童相談所,区福祉保健センターの職員」の計21名により「プロジェクトチーム」*2が設置され,2010年9月1日から検討が開始.本記事で紹介された同報告書では,「区と児童相談所との役割の明確化」という「組織的対応の強化」や「情報共有のための連携会議の整備」がて案されている.ただ,「あらゆる関係機関の連携による組織的な対応」もまた「対応の視点」として明記されていることからすれば,例えば,「家裁側は裁判所ではなく,福祉機関や教育機関として対応することが少なくな」*3く,「一種の“行政判断”」*4との分析もあることからすれば,他の社会資源との「連携」,そして,分立,分担に関しても,要確認.

*1:横浜市HP(こども青少年局トップ記者発表資料)「児童虐待対策プロジェクトの設置について」(平成22年8月30日,こども青少年局こども家庭課)

*2:前掲注1・横浜市児童虐待対策プロジェクトの設置について)1頁

*3:コリン・P・A・ジョーンズ『子どもの連れ去り問題』(平凡社,2011年)263頁

子どもの連れ去り問題?日本の司法が親子を引き裂く (平凡社新書)

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*4:前掲注3・コリン・P・A・ジョーンズ2011年:144頁