片山善博総務相は29日の閣僚懇談会で、東日本大震災で多くの職員を失った被災自治体の業務応援のための国家公務員の派遣に関し、「ある程度日常業務に支障が生じても、できる限り派遣してほしい」と述べ、全閣僚にさらなる協力を求めた。被災地では多くの職員が犠牲になった自治体もあり、残った職員も自身や家族が被災する中で、救援物資受け入れや避難生活者の支援などの業務を担い、心身の疲労が激しい。このため、政府を挙げて地方行政機能の維持・再建のために大量の人材投入を行う。
 被災地自治体への業務応援には、国家公務員だけで既に250人以上が派遣されている。また、被災自治体と姉妹都市協定や災害時相互応援協定を結ぶ自治体も、個別に応援職員を派遣しているが、現地での人員不足は解消されていないという。総務省は被災県から聞き取った要望を各省に割り振って打診する取り組みも始めた。岩手県からは救援物資の仕分けや避難所運営業務などに当面約20人▽宮城県からは4月まで市町村の行財政再建に携わる専門職員1人−−の派遣要請があった。追加の要望も受け付ける。派遣に伴う費用は国が負担する。【西田進一郎】

本記事では,総務相による,被災地域への業務応援のための国家公務員の派遣要請について紹介.同要請内容の概要に関しては,同相による2011年3月29日付の記者会見の概要を参照*1
同記者会見の概要を拝読させて頂くと,業務の応援・支援に対しての国家公務員の派遣に関しては,「他の大臣からも是非それはやるべきだという発言があり」,「皆さん,それぞれうなづいておられましたので,協力していただけるものと思います」との認識が示されている.
その派遣の趣旨としては,2011年3月22日付の記者会見の概要を拝読させて頂くと,同相の認識は「できる限り地元の市町村」と「それから県とが」「プランニングから.将来の町のビジョンを描くところをやった方」が「いい」として,そして,「それをできないところを,国が補完をするという,そういうやり方の方がいいのではないか」との原則を示されつつも,「本来,市町村が中心になって被災者の皆さんの生活支援をやるのですけれども,今回の津波災害の場合」は「町村が大打撃を受けている」ことから,「勢い県の役割が大きくなる」として,「で,その県の役割も国が相当補完しなければいけない」*2ともされる.
ただし,「今時の災害は,非常に,そういう,これまでの災害を上回るような,大変大きなダメージを市町村に与えています」との現状認識から,「市町村の皆さん,それから,それを支える県の皆さんの意見を聞いた上で,話を進めるかどうかを決めるのがいいと私は思います」*3ともされている.派遣の際には,要請主義を基調としつつ,更に,「こちらからどっと押しかけて行くよりも」「きめ細かく要望に応じてということ」*4を基調とされるようであり,もちろん,同省では2011年3月17日の時点で,同省の職員をお二人を岩手県へと派遣されており*5,まさに「まず塊より始め」*6られている.
一方で,本記事では余り紹介されてはいないものの,同相による同日の記者会見のなかでは,「報道されている以外」で,そして,同省としても「今,全貌はまだ把握していない」との留保がなされてつつも,「随分たくさんの」「地方公務員が入っている」*7ことも言及されている.下名自身もまた,今回の業務応援・応援のなかでの人的支援・応援による「自治体間の横」*8の連携の大きさを感じつつも,毎日,各自治体から被災地域の自治体へと,「短期の職務命令による派遣」「公務出張」*9の扱いとして,職員さんが派遣される姿を新聞報道で拝読させて頂くものの,その追跡が十分ではなく,今回の業務応援・応援のなかでの「自治体間の横」の連携の現状は,今後,要確認.
また,現在の業務の応援・支援体制から,今後の復興体制に向けて,2011年3月30日付の共同通信による記事では,政府では,「被災地を特区と認定することで復興の妨げになる規制を緩和」し「復興の迅速性を高める」ことを目的とした,「被災した自治体向けに「復興特区」の創設を検討」*10されつつあることも配信.「中央集権にある種の「郷愁」を感じる」*11ことなく,各地域毎での「特例主義」*12を基調とした復興制度・体制となる模様.今後の業務の応援・支援体制の運営とともに,今後の復興体制の検討・整備状況に関しても,要経過観察.

*1:総務省HP(広報・報道大臣会見・発言等)「片山総務大臣閣議後記者会見の概要(平成23年3月29日)

*2:総務省HP(広報・報道大臣会見・発言等)「片山総務大臣閣議後記者会見の概要(平成23年3月22日)

*3:前掲注2・総務省(片山総務大臣閣議後記者会見の概要(平成23年3月22日))

*4:前掲注1・総務省(片山総務大臣閣議後記者会見の概要(平成23年3月29日))

*5:総務省HP(広報・報道報道資料一覧地方公共団体の機能発揮の支援)「地方公共団体の機能発揮の支援 平成23年3月17日

*6:片山善博『日本を診る』(岩波書店,2010年)45頁

日本を診る

日本を診る

*7:前掲注1・総務省(片山総務大臣閣議後記者会見の概要(平成23年3月29日))

*8:田口一博「自治体間の横の連携」森田朗・田口一博・金井利之『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)154-155頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

*9:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2011年3月東北地方太平洋沖地震に係る被災地方公共団体に対する各地方公共団体からの人的支援に関する通知を発出しました)「東北地方太平洋沖地震に係る被災地方公共団体に対する人的支援について 」(総行公第21号 ,平成23年3月22日)

*10:共同通信(2011年3月30日付)「「復興特区」の創設検討 政府、規制や税制で優遇

*11:外岡秀俊地震と社会 下』(みすず書房,1998年)539頁

地震と社会〈下〉

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*12:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)202頁

自治制度 (行政学叢書)

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