◇迅速な対応、法的な助言
福岡市の児童虐待防止強化策として児童相談所「こども総合相談センター」(中央区)に配属される弁護士資格を持つ職員が、久保健二弁護士(43)に決まった。4月1日から同センターに「こども緊急支援担当課長」として常駐する。任期は13年度末まで。
 虐待を受けた子供を強制的に親から引き離す「職権保護」など、迅速な対応を迫られるケースに同行するほか、職員への法的対応の助言などを担当する。自治体が弁護士を虐待防止担当職員として採用するのは全国初。久保弁護士は県弁護士会子どもの権利委員会に所属。市長定例会見に同席し「公的対応の遅れで再び児童虐待事件が起きないように力を尽くしたい」と抱負を語った。【門田陽介】

本記事では,福岡市において,同市の児童相談所へ弁護士資格を有する方を職員として採用されたことを紹介.2011年2月16日付の本備忘録にて取り上げた同市の同取組.同取組の詳細に関しては,同市HPを参照*1
職名は,「こども未来局」の「こども総合相談センターこども緊急支援課課長(こども緊急支援担当) 」.2011年2月16日付の本備忘録でも記録した,2011年2月15日付の西日本新聞の報道にて紹介されていた,同職の「職務内容」は,「職員への法的対応の助言・指導,教育」「職権保護及び立入調査への同行」「支援困難な親との面接への同席」とともに「その他(関係機関との調整等)」にあるとされている.また,同職は「特定任期付職員」として,全国的にも,2009年末現在,「5.8%」の採用状況にある,「高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合」に採用される「任期付職員3条1項」*2」型として採用されることもあり,その「任期」は「平成23年4月1日」から「平成25年3月31日」*3までとされている.
なるほど,課長としての職務からは「職員への法的対応の助言・指導,教育」に基づき,同センターの他の職員の皆さんが「法律に強い職員」*4への育成また期待されており,職員育成の観点からも,興味深そうな取組.ただ,同職の配置は管理業務レベルのみなず,上記の通り,その職務において「職権保護及び立入調査への同行」「支援困難な親との面接への同席」が規定されており,同市長記者会見が同職設置の趣旨として「職権保護の場合」が「本当に微妙」であることから,「今,親から離して連れていっていいのかというところは本当に悩む」*5ことを指摘されていることからも,管理職ではあるものの,現場に必要とされる法的専門性に基づく同職が加わることで,同職には幅広く「一般業務レベル」*6の職務もまた想定されている模様.今後の同職の管理,一般業務のいずれの業務状況もまた,要経過観察.

*1:福岡市HP(市長のオフィス市長会見資料市長会見平成23年3月15日)「児童虐待防止に向けた特定任期付職員の採用予定者を紹介します!

*2:財団法人日本都市センター編著『都市自治体行政の専門性確保に関する調べ』22頁(財団法人日本都市センター,2010年)

都市自治体行政の専門性確保に関する調べ

都市自治体行政の専門性確保に関する調べ

*3:前掲注1・福岡市(児童虐待防止に向けた特定任期付職員の採用予定者を紹介します!)

*4:鈴木潔「行政事件訴訟法と訴訟法務」『Jurist』No.1394,2010.2.15,68頁

*5:福岡市HP(市長のオフィス市長会見資料)「市長会見平成23年3月15日

*6:大杉覚「都市自治体における行政の専門性確保:法曹有資格者の活用を手がかりに」『都市とガバナンス』Vol.13,2010年3月,77頁

都市とガバナンス 第13号

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