山形県は夏場の電力不足に備え、企業や家庭に15%の節電を呼び掛けて効果を検証する「社会実験」を25、31の両日、県内全域で行う。
◎企業と家庭対象/操業短縮や家電制限呼び掛け
 対象は病院と福祉施設を除く企業や家庭。企業には操業時間の変更や短縮、家庭には冷蔵庫の冷却設定を弱めたり、洗濯物の乾燥機使用やトイレのヒーター・温水洗浄を控えたりといった節電方法などを広報し、自主的な取り組みを求める。実施時間は25日が家庭の夕食準備などで消費電力量が増える午後5〜7時、31日は気温が上昇しやすい午後1〜3時。実施翌日に東北電力から県内消費量のデータ提供を受け、前年同期比15%という削減目標に対する達成度を評価、検証する。県庁では25日を定時退庁日とし、各職場の消費電力を減らすほか、エレベーターの使用も制限。31日は高架水槽に上水道を常時補給しているポンプを止め、夜間電力の使用に振り替える。
 東北電によると、太平洋側の火力発電所の被災などで、現時点で予想される8月の管内電力需要量1300万〜1380万キロワットに対し、供給力は1230万キロワットにとどまると予想されている。山形県内の電力需要は5月が約110万キロワット、8月は約160万キロワット程度。県は節電の呼び掛けに加え、企業局が運営する13の水力発電所(最大出力8万7600キロワット)で8月末から予定していた工事や保守作業を1カ月程度先送りし、残暑の時期の送電に備える。節電の運動方針には、自家発電や再生可能エネルギーの利用促進も明記された。吉村美栄子知事は10日の定例記者会見で「原発は本県になく、受け入れる気もないが、山形に適した自然エネルギーの活用を検討したい」と述べた。

本記事では,山形県において,同県内の企業,家庭での節電効果を検証する「社会実験」の取組を紹介.同取組に関しては,同県HPを参照*1
同取組では,「昨年同期比15%の電力削減」を目標に「県内企業・事業所,各世帯」を対象に,「平成23年5月25日(水)」の「17:00〜19:00」と同年同月「31日(火)」の「13:00〜15:00」*2の2回実施.同県では,節電の「取組み事例集」*3・同取組「結果」についても「速やかに公表」され,「結果を分析し」たうえで「本格実施に向けた取組みにつなげて」*4いく予定とのこと.
まずは「事実の提示」という*5を図ることにより,「行動変容」*6を企図する取組として整理ができそう.ただ,具体的な取組み事例のみならず,それぞれの取組を通じて,具体的に何ワットの節電が可能となるかも,あわせて紹介がなされていると,恰も節電ゲームが如く,自発的行動を促すことも期待できそうとも思わなくもない.ただ,同取組の「詳しくは,5月中旬にあらためてお知らせ」*7されるともあり,今後も要経過観察.

*1:山形県HP(組織別一覧生活環境部地球温暖化対策課地震に伴う節電等)「節電県民運動

*2:前掲注1・山形県(節電県民運動)

*3:山形県HP(組織別一覧生活環境部地球温暖化対策課地震に伴う節電等節電県民運動)「山形方式節電取組み事例集」(VOL.1 山形県地球温暖化対策課)(今後,VOL.2,VOL.3とでるのでしょうか.興味深そう)

*4:前掲注1・山形県(節電県民運動)

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),195頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*6:藤井聡社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版,2003年)36頁

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

*7:前掲注1・山形県(節電県民運動)