京都市は、2020年度に市内の自家用車所有台数を4万台削減し、電気自動車(EV)などエコカーを現状の13倍の12万台に普及させる自動車環境対策計画骨子案をまとめた。「脱クルマ社会」を掲げ、マンション住民が車を共同利用するカーシェアリングへの支援やコンビニなどにEVの充電設備の設置を努力義務に規定する新たな要綱も検討する。
 10年度までの旧計画は自動車増に備えた渋滞回避のための道路整備や騒音対策が中心だった。しかし、市が公共交通優先政策の「歩くまち京都」を最重点課題に位置づけたことを受け、自動車を総量抑制していく計画に切り替える。骨子案では、自家用車所有台数(51万6千台、08年度)を47万5千台にまで削減し、エコカーを9500台(09年度)から12万台に増やす目標を立てた。そのため、カーシェアリングを重視した。マンションや自治会単位の共同利用を目指し、本年度中の社会実験を検討する。マイカー観光を抑制するため、ホテルや旅館にレンタカーEVを配備する「京都Eco観光EVカーシェアリング」を立ちあげる。
 エコカー普及のため充電設備の拡充も掲げた。現在、市内には106基が設置されているが、約半分が府や市の設置で、民間整備が進んでいない。このため、コンビニや大規模量販店、有料駐車場を整備する際、充電設備設置を求めていく。市は21日まで意見を募集している。環境管理課TEL075(213)0930。

本記事では,京都市における自動車環境対策計画案の取組を紹介.2010年1月23日付及び同年2月22日付同年4月15日付同年4月17日付同年10月6日付の両本備忘録で取り上げた同市の『「歩くまち・京都」憲章』及び『「歩くまち・京都」総合交通戦略』の取組の一環の模様.同計画案は,「平成23年5月23日(月曜日)」から「平成23年6月21日(火曜日)」迄の間で,現在,パブリックコメントが実施されて,同計画案の内容の概要に関しては,同市HPを参照*1
同計画では,8つの重点施策のうちの一つとして「自動車の共同利用の促進」を設定され,「マンション等共同住宅・地域での共同利用(カーシェアリング・レンタカー)の促進」,「ホテル・旅館等,観光地と連携したEV共同活用システム「京都Eco観光EVカーシェアリング」の構築」,「エコカーによる共同利用の促進」,「自動車の共同利用(カーシェアリング・レンタカー)の普及」」を「具体的な施策」*2として実施されることを記載されている.あわせて,これらの8つの重点施策に関しては,「取組の推進を図り,目標達成に向けて市民・事業者に公表し「見える化」」を目的とした「進ちょく指標と目標」を定めており,同施策に関連しては,本記事でも紹介されgている「市内自家用自動車保有台数」が現在(2008年度)の「51.6万台」から,2020年度の目標を「47.5万台(8%削減)」*3とすることを目指されている.
モーダルシフト*4に向けては,本記事でも紹介されている「社会実験」を試みられる模様.ただ,「社会実験』である以上,「失敗する事もある」*5ことも観察されるなかで,それら社会実験という「参加者や社会全体が学習する機会となるような場」として運営されることになるか,同計画案の策定及び同取組の実施状況も要経過観察.

*1:京都市HP(パブリックコメント一覧「京都市自動車環境対策計画(仮称)骨子案」に関する市民意見募集について)「「京都市自動車環境対策計画(仮称) 骨子案」の意見募集について

*2:前掲注1・京都市(「京都市自動車環境対策計画(仮称) 骨子案」の意見募集について)4頁

*3:前掲注1・京都市(「京都市自動車環境対策計画(仮称) 骨子案」の意見募集について)7頁

*4:藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門』(学芸出版社,2008年)18頁

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

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*5:鈴木達治郎・城山英明・松本三和夫「分析と考察:社会意思決定プロセス」鈴木達治郎・城山英明・松本三和夫共編著『エネルギー技術の社会意思決定』(日本評論社,2007年)269頁

エネルギー技術の社会意思決定

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