黒岩祐治知事が自身の政治活動を支える知事特別秘書に、菅義偉総務相の公設第1秘書を務めた千田(ちだ)勝一郎氏(40)を起用する方針を固めたことが13日、分かった。神奈川県政史上2人目の特別秘書で、近く任命される見通し。
 千田氏は横浜市港南区在住。立教大学卒業後、大手商社勤務を経て松下政経塾に入塾。2006年から自民党岩手県参院選挙区第1支部長を務め07年の参院選に出馬、08年6月に現自民党神奈川県連の菅会長の公設第1秘書に就任した。黒岩知事は神奈川新聞社の取材に対し、千田氏起用の理由について「人格的にも能力的にも素晴らしい方で、神奈川のこともよく知っている」と述べ、側近としての手腕に期待を寄せた。特別秘書は、地方公務員法に基づき条例で設置できる特別職。神奈川では松沢成文前知事の2期目にあたる08年4月に設置条例が施行されており、県議会の同意などを必要とせずに知事が任命できる。松沢県政では、今岡又彦氏が約2年10カ月にわたり務めた。

本記事では,神奈川県における知事特別秘書職の就任方針に関して紹介.
2008年3月5日付の本備忘録にて,その制度設計時点での審議に関して記録した同県の「知事特別秘書職」制度.同職には「一般職では対応しきれない知事の諸活動をサポートする職」*1との前知事の議案説明にもあるように,「匿名の黒衣」*2に限らないような職務を果たすことを企図される趣旨から制定された「特別職の秘書の職の指定等に関する条例」.同条例に関しては,同県HPを参照*3
同職は,同条例第2条に基づき「知事の専任の秘書1人の職」を「特別職として指定」され,「給料の額」は,同条例第3条により「月額72万円を超えない範囲内で知事が定める」こととされている.同職の設置条例案の同県議会への提出時点では,「全国23の都道府県で条例を定め」られていたなか(条例のみならず,実際に設置されている都道府県はどれくらいのあるものなのでしょうか,要確認),本記事後段にも記載されているように,前知事期に「平成20年6月1日」*4にお一人が任命され,「2年10カ月」務められた模様.方や,2011年4月25日付の就任記者会見のなかでは,「特別秘書は,当面置きません」*5との考えも示されていた現知事.本記事を拝読させて頂くと,同記者会見の折に紹介された秘書の方とは異なる方を,同職として任命される模様.
同県では,同職,「顧問」「参与」「専門委員」*6,そして,副知事職と,多層な「庁内・常勤」型とも整理されるいわゆる「知事ブレーン」*7が整備.自治体もまた「限定された政治任用制」*8とも解せそうななかで,これらの各職の職務と相補関係という「運用」*9に関しては,是非とも観察してみたい課題.

*1:神奈川県HP(分類でさがす電子県庁・県政運営・県勢県政情報県全体の広報平成22年度以前の定例会見及び議案説明 )「平成20年2月定例会(知事提案説明)

*2:西尾勝行政学 新版』(有斐閣,2001年)145頁

行政学

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*3:神奈川県HP(政策局 政策調整部 政策法務課法規データ提供サービス)「特別職の秘書の職の指定等に関する条例」(平成20年3月31日条例第5号)

*4:神奈川県HP(神奈川県記者発表資料:)「知事特別秘書の任命に,ついて(平成20年5月27日記者発表資料)

*5:神奈川県HP(知事室 調査課神奈川県知事のページ)「就任記者会見(2011年4月25日)結果概要

*6:神奈川県HP(政策局 政策調整部 政策法務課法規データ提供サービス)「神奈川県顧問、参与及び専門委員の設置等に関する規則」(平成19年6月1日 規則第81号)

*7:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)77頁

ホーンブック 地方自治

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*8:出雲明子「戦後日本の政治任用 制度設計と政治過程」『季刊 行政管理研究』125号,2009年3月号,7頁

*9:前掲注8・出雲明子2009年:13頁