坂東市は、市税の納税率アップを目指し、優良納税者に税カードを発行した。カードはポイントが加算され、景品が当たる抽選会も計画している。県内自治体でも初めての取り組みという。
 対象となる市税は、個人市民税、固定資産税・都市計画税軽自動車税国民健康保険税。市収納課によると、二〇一〇年度、これらの市税は計七十九億円に上るが、収納率は89・7%で、県内自治体ではやや低迷しているという。市は収納率を上げるため、夜間に特別納税相談を開いているほか、戸別の夜間徴収作業なども行っている。発行されるのは、これまで滞納がないことや期限内の納税が条件。納税すると一税目ごとに三百ポイント(一ポイント一円)が加わり、税カードで手数料三百円の住民票、所得証明書など各種証明書が無料で交付される。ポイントは毎年度、加算される。現在、市の人口は約五万六千人で、うち約三万一千五百人にカードが行き渡る。八月一日から使用できる。 (原田拓哉)

本記事では,坂東市における優良納税者対応の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
本記事でも紹介されているように,「さらなる納税意識の高揚と税収の確保」を目的として,各「市税等の完納者」に対して「「市民の税カード」を発行」される取組.「税目ごとにポイント」が規定されており,「納税額には関係なく,完納した税目ごとに一定のポイントが付加」*2される.各証明書の発行手数料と必要ポイント数は,下記表の通り.

項目 手数料 必要ポイント
住民票の写し(除かれた住民票等)1枚 300円/1通 300ポイント
住民票の写し2枚 500円/1通 500ポイント
印鑑登録証明書 300円/1通 300ポイント
外国人記載事項証明書 300円/1通 300ポイント
所得証明書 300円/1通 300ポイント
課税・非課税証明書 300円/1通 300ポイント
所有不動産証明書 300円/1通 300ポイント
土地建物等評価・公課証明書 300円/1枚 300ポイント
納税証明書 300円/税目 300ポイント

証明書発行手数料の実質的無料化による「誘因型」*3とも整理ができそな同取組.ただ,各種証明書の負担減により,いわば「確信犯」*4的な未納者も納税への行動変容に至り,「さらなる納税意識の高揚と税収の確保」に至ることになるかは,問題構造の設定とそれに対する政策手法の設計を考えるうえでは深そうな観察課題.要経過観察.

*1:坂東市HP(お知らせ市民の税カード「得・得・なっ得カード」について (2011年07月22日))「市民の税カードとは?

*2:前掲注1・坂東市(市民の税カードとは?)

*3:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),92頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*4:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)67頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

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