京都府内の市町村単位で運営している国民健康保険の一元化に向けた協議会の初会合が26日、京都市上京区のホテルであった。府と全市町村の担当者が出席し、保険料の減免基準や保険料収納率の向上策などを話し合う4作業部会を8月中に設けることを決めた。
 第1作業部会は、生活困難者に対する保険料や一部負担金の減免基準を府内で標準化するほか、府内標準の保険料設定の算定方式を検討する。第2作業部会は特定検診の実施率を高める方策を話し合う。第3部会は保険料収納率の向上策を考え、第4部会は薬価の安い後発医薬品の普及促進や国保の基幹業務支援システムの改善を検討する。市町村国保財政は加入者の高齢化などで全国的に悪化しており、府内も2008年度で26市町村中20市町村の国保会計が赤字。1人当たり平均保険料も最高の精華町(10万4208円)と綾部市(5万6944円)で1・8倍の格差がある。
 国は高齢者医療制度の見直しに伴い、将来的に国保の運営を都道府県単位に一元化して財政の安定化を目指す方針で、府も昨年末に広域化の取り組み方針をまとめていた。

本記事では,京都府内に位置する市町村と同府による国民健康保険の一元化に向けた協議開始の取組を紹介.協議の場は「京都府市町村国保広域化等に関する協議会」.
同協議会は,同府が2010年12月に策定された「京都府国民健康保険広域化等支援方針」*1にて,「将来的な医療保険制度の全国規模の一元化を目指しつつ」も,「まずは,ナショナルミニマム確保の観点から市町村国保への国費投入を充実する」ことを「国に求める」ためにも「市町村国保都道府県単位で一元化し,広域自治体である京都府がその運営に参画する」,「京都府と市町村が協力して国保を運営していくことが必要」*2との認識に基づき,「市町村国保都道府県単位での一元化に向け」て同「方針に定める施策の推進」,同「方針の進捗管理や見直し.運営体制の在り方等」に関して,府と市町村が協議,調整等を行うため」に「平成22年度に設置」*3が予定されていたもの.現在のところ,同府HPでは,第1回目の同会の開催に関しては公表されており,同回では,厚生労働省保険局国民健康保険課企画法令係長からの報告,「京都府国民健康保険広域化等支援方針」,「平成23年度の取組計画(作業部会の設置等について)」*4が協議内容であったことは分かる.ただ,実際の協議内容の詳細に関しては,現在のところ公表されておらず,残念.公表後,要確認.
同協議を通じて,国民保険制度自体が「市町村からロックインから抜き出す」*5分岐点ともなりうるか,はたまた「都道府県単位」という「ドクトリン」*6のもとで,「市町村でありながら,市町村ではない,それが市町村が集まって作る広域連合」*7に収斂することになるか,2008年10月8日付の本備忘録でも記した「社会保険制度の行政学」の観点からも興味深いところ.同協議の進捗状況は,要経過観察.

*1:京都府HP(健康・福祉・人権健康・医療医療企画課の業務について京都府国民健康保険広域化等支援方針の策定について)「京都府国民健康保険広域化等支援方針」(京都府,平成22年12月策定)

*2:前掲注1・京都府京都府国民健康保険広域化等支援方針)1頁

*3:前掲注1・京都府京都府国民健康保険広域化等支援方針)1頁

*4:京都府HP(健康・福祉・人権健康・医療)「京都府市町村国保広域化等に関する協議会の開催について

*5:北山俊哉『福祉国家の制度発展と地方政府』(有斐閣,2011年)124頁

福祉国家の制度発展と地方政府 --国民健康保険の政治学 (関西学院大学研究叢書)

福祉国家の制度発展と地方政府 --国民健康保険の政治学 (関西学院大学研究叢書)

*6:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

*7:前掲注5・北山俊哉2011年・116頁