在宅での療養を続ける高齢者の健康状態を地域の医師が日常的に把握、病気発症の兆しが見つかった場合、指定の病院へ速やかに入院させることで悪化を食い止める医療連携を府と京都市、府医師会などが来年1月から始める。府によると、全国初の取り組みという。
 「在宅療養あんしん病院登録システム」と名付けた医療連携には、在宅医療を行う開業医と、府が指定する140以上の「在宅療養あんしん病院」が参加する。まず、在宅療養中の高齢者(65歳以上)に、日頃から診察を受けている地域の医師を通じて、入院を希望する病院、治療を受けている歯科医、よく利用する薬局、介護サービスを受ける施設などの情報を登録してもらう。情報は、府医師会に今年6月設けた「京都地域包括ケア推進機構」のデータベースに集約、管理する。地域の医師が脱水症状や肺炎の初期症状などを見つけ、在宅での治療が困難と判断した場合、指定病院が受け入れて悪化しないよう治療を行う。症状が落ち着くと、病院側は登録データを基に地域の医師やケアマネジャーらと連携、在宅で地域の医師の診察を受けながら健康管理ができるよう、ケアの方法を検討する。
 府医師会の森洋一会長は「在宅医療を望む人は多いが、検査が十分できなかったり、医師が対応に迷ったりして症状が悪化することもある。医療関係者が密に連携し、住み慣れた地域で安心して医療が受けられる社会にしたい」と話す。府はこの取り組みと並行して、高齢者の在宅医療の充実も推進する。2015年3月までに、24時間体制で往診・訪問介護を行う「在宅療養支援診療所・病院」を、298施設から450施設に増やす。

本記事では,京都府京都市等から構成される「京都地域包括ケア推進機構」における医療連携の取組を紹介.同取組に関しては,同機構HPを参照*1
高齢者が「病院を事前登録すること」により「体調不良時に病院への早期アクセス,早期治療」に結びつけることにより,「在宅療養を維持」すること」を目的とする同取組.利用者は同「府内在住の高齢者(65歳以上)」で「在宅で療養を行っている方」.「在宅医療が困難になった際」の「一時入院をかかりつけ医を通じて受け入れる」*2手順とされている.
「サービスを活用」するための「高齢者」の「情報との接点」*3として,「高齢になるほど接点が多くなるなる人や組織」が「まず医師,医療機関*4.とはいえ,「高齢者すべてが接点を持つとは限らず,さらに定期的な接点になるとも限らず,情報源としては不安定な面」*5とも観察されるなかでの同取組.情報提供のみならず,「かかりつけ医」による判断領域が大きくなるシステムにもなるのだろうか.要経過観察.

*1:京都地域包括ケア推進機構HP(新着情報:「在宅療養あんしん病院」ロゴマークの募集について)「在宅療養あんしん病院登録システム」(平成23年9月12日)

*2:前掲注1・京都地域包括ケア推進機構(在宅療養あんしん病院登録システム)2頁

*3:西垣千春『老後の生活破綻』(中央公論新社,2011年)149頁

老後の生活破綻 - 身近に潜むリスクと解決策 (中公新書)

老後の生活破綻 - 身近に潜むリスクと解決策 (中公新書)

*4:前掲注3・西垣千春2011年:150頁

*5:前掲注3・西垣千春2011年:150頁