広域自治体(府県)から独立する「大都市制度」の実現を目指す七つの政令指定都市による共同研究会の初会合が31日、東京都内のホテルで開かれた。横浜市の呼び掛けで川崎、相模原の県内政令市のほか、さいたま、千葉、京都、神戸の各市が参加した。
 現行の二重行政を解消し、財源や権限を強化することで市民生活や地域経済にどのようなメリットが生まれるのかなどについて研究しアピールするのが狙い。さらに政令市を解体・再編する大阪都構想や、県と政令市が合併する新潟州構想などさまざまな大都市の制度改革の議論がある中で、7市が目指す「特別自治市」の利点や都市内分権などに関してもあらためて整理する。座長の林文子横浜市長は「各政令市は文化も地域性も多様なので、初めから制度ありきにしないでしっかり議論したい」と話した。来年3月に中間報告、同11月には最終報告をまとめて国に制度改革を求めていくという。

横浜市長「このままの方がよい」
 「経済界は(企業が)統合している時代。横浜市スケールメリットを生かすにはこのままの方がよい」。横浜市の林文子市長は31日、大阪で議論されている政令市の解体・再編は横浜にはなじまないとする考えをあらためて強調した。大都市制度共同研究会の初会合後に記者団の取材に答えた。大都市は住民の声が反映されにくく、適正な自治規模に分割していく必要性も指摘されている。これに対して、林市長は「(370万都市の)横浜は広すぎて一人でまとめられないといわれるが、そうではない。もともと一つの都市を分割して(公選制で選ばれた)トップ(区長)がたくさん出るのが本当にいいのかという問題もある」と反論。その上で「横浜の18区は各区で得意分野が違う。シナジー(相乗効果)を生かすのは今のままの統一感がある方がよい。区長が市民のことを考え、経済戦略もやる。そうした人材を育てていくことが大事だ」と訴えた。

本記事では,横浜市川崎市相模原市と神奈川県に位置する政令指定都市及びさいたま市千葉市京都市,神戸市による大都市制度に関する研究会設置の取組を紹介.
2011年7月28日付の横浜市長の記者会見でも紹介されている,「横浜市川崎市は,既に大都市制度を導入したいと打ち出している市」として「今年から(両市で)一緒に各方面へ強く(大都市制度の導入を)訴えていこう」として,横浜市長から「川崎市長」へと「提案」し「意見の一致」*1に至った2011年7月29日付の本備忘録にて記録した横浜市川崎市による共同研究の方針.最終的なその構成都市は,本記事を拝読させて頂くと,両市に留まらず,神奈川県に位置する政令指定都市である相模原市,首都圏に位置する千葉市さいたま市,そして,旧五大市の繋がりだろうか,京都市と神戸市の上記の7市から構成された「指定都市7市による大都市制度共同研究会」*2の名称による研究会を設置.
設置の趣旨は,「指定都市市長会が取りまとめた「特別自治市構想」具体化」が目的.同研究会では,各都市の「大都市制度担当部長級職員」が「研究会委員」となり「研究」を進め,研究会へは「必要に応じて市長も参加」*3される方針ともある.現在までには,2011年11月1月付の読売新聞*4東京新聞*5,そして存外やや詳しく,熊本日日新聞*6にて報道がされてはいるものの,同会の議事概要及び資料等の詳細は,同市HPでは公表されてはいない模様.残念.公表後,要確認,
2011年8月3日付の本備忘録にて記録した静岡市浜松市における「特別自治市」構想に関する研究会設置のように,「特別自治市*7制度という同一のテーマながらも,地域毎での「多極分散型」*8の大都市制度論議(研究)を進められる大都市.過度な分散的論議,多くの構成員からなる論議により,大都市制度のみならずその論議の「希釈化」*9に至ることも想定がされなくもないものの,むしろ,個別地域毎での審議に拘ることにより,「特別自治市」という共通のフレーミングのもとで,敢えての「同床異夢」*10により,各地域毎の「複雑でデリケートな調整問題を一つひとつ解いていくこと」*11を想定されいるとも解せなくもない.同研究会の論議もまた,要経過観察.

*1:横浜市HP(市長定例記者会見2011)「市長定例記者会見(平成23年7月28日)

*2:横浜市HP(記者発表資料記者発表資料 過去の一覧2011年10月)「「指定都市7市による大都市制度共同研究会」を設置します!

*3:横浜市HP(記者発表資料記者発表資料 過去の一覧2011年10月「指定都市7市による大都市制度共同研究会」を設置します!)「「指定都市7市による大都市制度共同研究会」を設置します!」(政策局大都市制度推進課,平成23年10月26日)

*4:読売新聞(2011年11月1月付)「大都市制度 本格議論を開始

*5:東京新聞(2011年11月1月付)「7政令市研究会の初会合 大阪都構想をけん制

*6:熊本日日新聞(2011年11月1月付)「二重行政解消へ 横浜市など7政令市、研究会設置

*7:指定都市市長会HP(地域主権改革の必要性指定都市制度の課題新たな大都市制度「特別自治市」の創設に向けて)「新たな大都市制度の創設に関する指定都市の提案 〜 あるべき大都市制度の選択「特別自治市」〜詳細版」(指定都市市長会平成23年7月27日)

*8:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)206頁

地方分権改革 (行政学叢書)

地方分権改革 (行政学叢書)

*9:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*10:城山英明「環境問題と政治」苅部直,宇野重規,中本義彦編『政治学をつかむ』(有斐閣,2011年)282頁

政治学をつかむ (テキストブックス[つかむ])

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*11:松井望「大都市制度をめぐる諸問題‐「二重行政」という問題とその解‐」『都市とガバナンス』vol.16,2011年9月,41頁

都市とガバナンス 第16号

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