小松市は5日までに、全246町内会を対象に、防災に関する活動評価を初めて行い、 各町内会を5段階にランク付けした。市によると県内初の試みで、各町内会の防災態勢の充実度を分かりやすく示して活動不足の町内会に取り組みを促し、自主防災態勢の底上げに役立てる。最高ランクに認定された町内会には「ご褒美」も用意し、住民のやる気を引き出す。
 小松市内では、204町内会が住民主体で助け合う自主防災組織を設立しており、同組 織がない42町内会と比べて態勢が充実している。訓練をほとんど実施していない防災組織もあり、町内会ごとの防災レベルはばらばらという。市は、大災害発生時に消防職員らだけでは救助活動などに手が回らないことが懸念されるため、町内会や自主防災組織の態勢強化に取り組む。現状を把握するため、町内会ごとの防災活動の充実度をランク付けして明示することにした。
 活動評価の基準は▽防災訓練の頻度や住民の参加率▽消防団など関係機関との連携状況 ▽防災士や「しみん救護員」の有無−などで、100点満点中70点以上をA、50点以 上はBなどとした。Aに判定された町内会は全体の2%、Bは25%、Cは15%、Dは 40%、Eは18%程度となった。Aランクの町内会は、市が公民館など集会施設に防災用機材を備え付ける施策で、機材数を通常の町内会よりも増やすことができる特典を受けられる。
 市は「町内会から防災訓練の指導依頼があれば、今回の評価を参考に防災態勢の強化方法を指導したい」(防災安全センター)としている。

本記事では,小松市における地域自主防災の取組を紹介.
同市の各町内会の自主的な防災態勢の整備状況に関して,同市では,「5段階にランク付」.同ランク付の結果の公表とともに,同ランク付の結果を踏まえて,本記事を拝読させて頂くと,例えば,「Aランクの町内会」へは「市が公民館など集会施設に防災用機材を備え付ける施策」に関して「機材数を通常の町内会よりも増やすことができる特典」も設けられる模様.ランク付けの結果により,整備される機材数の差異を通じて,Aランク以外の町内会が自主防災態勢の整備へと促すことになる,「誘因型」*1の政策手法としても整理ができそうな同取組.なるほど,興味深い.
勿論,整備される機材は,ランクが低い町内会にも標準数は整備がなされ,決してランクの結果に応じてその数が少なくなることはないかとも想定されるが,同取組の詳細に関しては,現在,同市HPでは確認できず,公表後,要確認.ただし,「非ルーティーンの問題」*2である災害に接した場合,ランク付けが高い町内会は,充実した機材を通じて自主的に「臨機応変な取組」を進めることも想定される.方や,ランク付けが低い町内会に関しては,機材が標準装備であることで,より一層「階層的な対応」へ依拠,指向することにもなるのだろうか.少し考えてみたい課題.

*1:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),92頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*2:ドナルド・ケトル『なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想』(勁草書房,2011年)100頁

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想