広島市は2012年度、ハローワークの窓口を8区役所に設ける。松井一実市長が目指す市へのハローワーク移管に向けた取り組みの一環。求人情報端末を設置し、専門職員が相談に乗りながら仕事の紹介などをする。まずは生活保護の受給者を対象に始め、福祉と就労対策を一体化して自立を支援する。
 区の窓口にはハローワークを運営する広島労働局が専門職員を派遣し生活保護受給者の求職活動を支援。受給者はハローワークと同じ端末で求人情報を探すことができ、専門職員が市のケースワーカーと相談して就労につなげる。関連経費は地域主権改革の名目で厚生労働省に配分される予算が充てられる。厚労省出身の松井市長は11年10月、国の出先機関の原則廃止を掲げる政府の提案募集に応じ、就労支援の事務・権限の移譲を要請。ハローワーク窓口の区役所設置はその第1段階の位置付けだ。市は3月までに、労働局、広島県と事務・権限移譲への課題を検討する運営協議会を設ける。
 市企画調整部は「市民生活に密着した区役所で職業紹介ができれば、求職者が必要とする福祉を含めた支援をワンストップで提供できる」と意義を強調。労働局は「できる部分から協力したい。最初から全区への職員派遣は人員の都合もあり調整が必要だ」とする。市の構想では利用対象者の拡大や福祉に精通した職員のハローワークでの研修を経て、最終的に市内に三つあるハローワークの施設や人員、県の職業訓練施設も市に全て移す。江田島市北広島町など近隣7市町の就労支援業務も引き受ける方針だ。

本記事では,広島市において,同市の各区役所に「ハローワーク」の窓口の設置方針を紹介.同方針に関しては,現在,同市HPでは把握できず.公表後,要確認.現在,広島労働局では,同市内に2か所*1ハローワークを設置.
同市では,本記事でも紹介されているように,「アクション・プランを実現するための提案について」の「募集」*2に応じ,「アクション・プランを実現するための広島市の提案」*3を提出.同資料を拝読させて頂くと,同市では,「就職」に加えて「生活・福祉等の総合的な支援をワンストップで提供する等、求職者本位のトータル支援が可能となる体制を実現」を目指し,ハローワークの移管を提案.
具体的には,3段階の工程を提案されている.まずは「STEP1」として,「当面の一体的な実施」を図るため,「ハローワーク業務のうち,職業相談・紹介業務等の求職者向けサービス」の「一体的な実施を行う」ことを提案.次いで,その「一体的な実施の拡大」を図る「STEP2」として,「利用対象者の範囲の拡大」,「事業者向けサービスを含む対象事業の拡大を行う」ことになる.最後に「STEP3」に至り,「一体的な実施を行いながら」「抽出された課題を整理,解消した上」で「事務・権限」,「必要な財源全てを移譲」,そして「必要な人員を移管する」工程となる.今回の提案は,これらの工程のうち「STEP1」.まずは,「国(広島労働局),広島県及び広島市が参加する運営協議会を設置」し,同協議会の場で「職業紹介業務と雇用保険業務の連携」に関して検討を行い,「区役所へのハローワークのサテライト窓口の設置」とともに「福祉業務に精通した職員のハローワークへの派遣」*4の実施を企図されている.これらにより,「ハローワーク特有のノウハウ」*5もまた,一体化されていくのだろうか.興味深い.
同市の提案内でも述べられているように,同市への移管に際しては,課題もあるという.つまり,上記の同「市域を所管するハローワークの管轄区域」は「近隣の市町も含まれる」ことから,同「市のみが権限移譲を受け」た場合でも,「残存地域の住民のために現状のハローワークのサービスを維持する」ための「調整が必要」*6となる,いわゆる「まだら分権」状態への対応.次いで,都道府県への移管では,「ハローワークが行っている就職相談,職業訓練の受講指示及び職業紹介」と「都道府県が行っている職業訓練施設及び就職支援施設の運営との一貫したサービスの提供」が可能となるものの,政令指定都市では「これらの施設管理の運営を行っていない」ことから,これらの「メリットを享受するため」には,各「施設管理の広島県からの権限移譲も併せて検討を進める必要」*7となる,いわば,二正面での移管手続が必要とされることがある,という.
これらの課題もあってだろうか,同提案に関しては,「平成24年1月16日現在」,資料「提案内容の実現に向けて,地方自治体と厚生労働省が直接協議中のもの(提案概要及び進捗状況)」を拝読させて頂くと,「提案内容等について協議中」とその「進捗状況」*8が位置付けられている.今後の検討結果も要確認.

*1: 厚生労働省HP(厚生労働省について所在地案内都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧広島労働局ハローワーク)「管内公共職業安定所一覧

*2:内閣府HP(内閣府の政策地域主権改革地域主権戦略会議「アクション・プラン」推進委員会第1回 公共職業安定所(ハローワーク)チーム会合)「「アクション・プランを実現するための提案についての募集」(平成23年8月3日,内閣府地域主権戦略室)

*3:内閣府HP(内閣府の政策地域主権改革地域主権戦略会議「アクション・プラン」推進委員会第1回 公共職業安定所(ハローワーク)チーム会合)「アクション・プランを実現するための広島市の提案

*4:前傾注3・内閣府(アクション・プランを実現するための広島市の提案)1頁

*5:久保寺健彦『ハロワ』(集英社,2011年)9頁

ハロワ!

ハロワ!

*6:前傾注3・内閣府(アクション・プランを実現するための広島市の提案)2頁

*7:前傾注3・内閣府(アクション・プランを実現するための広島市の提案)2頁

*8:内閣府HP(内閣府の政策地域主権改革地域主権戦略会議「アクション・プラン」推進委員会第1回 公共職業安定所(ハローワーク)チーム会合)「提案内容の実現に向けて,地方自治体と厚生労働省が直接協議中のもの(提案概要及び進捗状況)」7頁