さいたま市は十八日、前鳩ケ谷市長の木下達則氏(64)を市政策局副理事(部長級)として二十三日付で採用する、と発表した。二重行政防止のため設置が決まり、三十日に初会合がある県と市の連絡調整協議会(仮称)での調整役など、主に県との連携を強化する業務に当たる。
 前市長が別の市の幹部に登用されるのは異例。市の担当者は「これまでの豊富な行政経験もあり、その力を振るっていただきたい」と話している。木下氏は二年の任期付き職員としての採用。木下氏に就任を要請した清水勇人市長の来年五月までの任期を約八カ月超えるが、県との連携は長く継続する重要事項であるなどとして、清水市長が決定した。市の規定では、部長級の給与は月額約四十五万〜五十万円。ボーナス分も合わせ、年収はおよそ一千万円弱になる見通し。 (前田朋子)

本記事では,さいたま市における任期付職員制度の取組を紹介.2012年1月18日付の同紙*1でも報道されていたように,同制度を通じて採用される方は,前鳩ケ谷市長.2012年1月7日付の本備忘録にて記録した,同市が位置する埼玉県との間での「二重行政」の防止のための協議会設置の「調整役」となる模様.同制度の詳細は,同市HPを参照*2
同市では,まずは,同「市の施策を推進する際に埼玉県との調整を必要とする事業が数多く存在して」いるとの現状認識に基づき,あわせて,「これらの事業を効率的かつ効果的に推進し」,同「県とのこれまでの良好な関係を維持」するためには,同「県との絆を更に深め,密接な関係を構築するための架け橋として尽力する常勤スタッフが必要」*3との課題認識から,同制度を採用.同職に就任される前鳩ケ谷市長は,「元埼玉県職員」として「豊富な知識及び行政経験」があること,「元鳩ヶ谷市長として,政策的な判断を必要とする特別職としての実務経験」があること,そして,同「市の三市合併時には県まちづくり支援課長」の職に就かれた経験,そして,同「市が政令市に移行した際には県知事特別秘書として尽力」された経験からも,同「市の実情に精通している」*4ことを,その理由とされている.
就任される「所属」は「政策局」となり,職位は「副理事」.その職務は,3つが分掌されており,まずは,上記の通り,「埼玉県・さいたま市連絡調整協議会(仮称)における調整及び運営」,次いで,同「市と埼玉県にわたる政策課題の必要な相互調整及び指導・助言」,最後は,バスケットクローズとして,「その他政策全般に関する技術的な指導・助言」となる.同局長へのスタッフ職に止まらない,庁内外への「統制スタッフ」*5としての役割も果たされることになりそうか.同協議会とあわせて,同職による調整徐湯京も,要経過観察.

*1:東京新聞(2012年1月18日付)「さいたま市政策局幹部に前鳩ケ谷市長 県との調整担当

*2:さいたま市HP(市についてさいたま市の広報記者への情報提供記者への提供資料記者への提供資料(23年度)記者への提供資料(24年1月)任期付職員の採用について)「任期付職員の採用について」(記者発表資料平成24年1月18日(水))

*3:前傾注2・さいたま市(任期付職員の採用について)1頁

*4:前傾注2・さいたま市(任期付職員の採用について)2頁

*5:西尾勝行政学[新版]』(有斐閣,2001年)181頁

行政学

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