名古屋市は18日、虐待が疑われる児童の一時保護を専門にする「緊急介入班」を来年度、市内2か所の児童相談所に新たに設置する方針を、市議会教育子ども委員会で明らかにした。昨年10月、同市名東区で男子中学生が虐待死した事件などを受けて検討してきた虐待防止策の一環。市子ども青少年局は「より迅速に虐待に対応していく」と話している。
 緊急介入班は、課長級職員をトップに、係長級、児童福祉司児童相談所OB、児童心理司、県警から出向中の警察官の計6人で構成する。中央児童相談所昭和区)と西部児童相談所中川区)内に設置する。また、子ども青少年局の子ども育成部内に来年度、虐待対策を専門に扱う「児童虐待対策課」(仮称、職員6人)を新設。虐待に至る可能性が高い家庭への対応方法を検討し、関係機関の連絡調整を行う。市はこれまで、児童の頭や首など危険な部位に外傷があった場合でも、より総合的な判断が必要だとして一時保護に慎重だった。しかし、今後は、こうした部位に一度でも外傷が確認できた時点で一時保護するなど、より踏み込んだ対応を行う方針も明らかにした。同市では、2010年度に833件の児童虐待が報告されており、前年度からは92件増えている。

本記事では,名古屋市における「児童虐待対策課」と「緊急介入班」の設置方針を紹介.同方針に関しては,現在のところ,同市HPでは確認できず.公表後,要確認.
同市では,2011年度の組織改正により,「児童虐待対策に係る連絡調整」を目的に,児童相談所に主査の職として,「愛知県警察の警察官」*1を配置.本記事を拝読させて頂くと,2012年度からは,「職員6人」からなる「虐待対策を専門に扱う「児童虐待対策課」(仮称)」を設置し,「関係機関の連絡調整」を設置される模様.まさに,「他機関との連携する“場”を制度的につくる」ことで「情報の共有や意思疎通を図ろう」とする「巻き込み型」*2としての機構改正とも整理ができそう.
「現在のわが国の児童虐待対応は,児童相談所と保護者との対立が限界に近いところまで達している」*3とも解されるなかで,児童相談所の職員の方々は「相手を説得・納得させる技量」*4を通じて,「親をどう解きほぐしていくか,相手を見分ける目と相手に即した対応」を基調とされていることが観察.本記事てて紹介されている,「一時保護するなど,より踏み込んだ対応」に至る迄での両対応間での判断の幅も,要確認.

*1:名古屋市HP(市政情報一般行政・その他市の組織改正について)「平成 23 年度の組織改正について」1頁

*2:手塚洋輔「児童相談行政における関係機関とのネットワーク構築」『児童相談行政における業務と専門性』(財団法人日本都市センター,2011年)30頁

日本都市センターブックレットNo.25 児童相談行政における業務と専門性―みんなで支える子どもと命―

日本都市センターブックレットNo.25 児童相談行政における業務と専門性―みんなで支える子どもと命―

*3:川崎二三彦「児童虐待の実情と課題 対応現場で見えるもの」『ジュリスト』no.1407.2010.9.15,85頁

Jurist(ジュリスト)2010年 9/15号 [雑誌]

Jurist(ジュリスト)2010年 9/15号 [雑誌]

*4:鈴木潔「さいたま市児童相談所」(前傾注2・所収)92頁