条例制定を経ずに16の審議会・委員会を設置したとして、南あわじ市が幹部職員9人を2010年に処分していたことが、27日までに分かった。
 市によると、該当するのは、同年5月までに設置した行財政改革審議会や事業評価監視委員会などの付属機関。地方自治法によると、自治体は法律や条例に基づいて、審議会や委員会などを設置できる。メンバーが自治体職員のみで構成される場合は条例を制定する必要はないが、16の審議会・委員会などには民間の委員が含まれていた。
 「付属機関に職員以外が含まれている」と市会側から指摘された。市は適切な事務処理を指導しなかったとして、同年5月に当時の財務部長と教育部長を訓告、市長公室長ら7人を厳重注意とした。懲戒処分ではないことを理由に公表していなかった。市総務部は「地方自治法に対する認識が不足していた。現在は法に基づいて行っている。審議内容については、それぞれ適切に対応してきた」としている。

本記事では,南あわじ市における「附属機関」の設置状況を紹介.
組織機構の整備と委員等の処遇(報酬等)に対する議会統制の観点から,「付属機関といえども普通地方公共団体の行政組織の一環をなすものであることから,他の行政組織と同様に議会の統制の下に置くことが必要である」*1との認識から,条例設置が前提とされる「附属機関」.
他方で,「条例に基づかず要綱等により設置される懇談会・委員会・研究会等のいわゆる私的諮問機関が少なくない」*2ことも事実.加えて,「しばしば,私的諮問機関で重要な政策の方向性が決定され,条例に基づく審議会等以上に実際上の意義がある」*3と,要綱設置の活用ともに,その場の「実際上の意義」が観察.確かに,私的諮問機関は,制度的には,その設置根拠からも,審議内容と結果への「非難回避」*4は可能.ただ,やはりその「実際上の意義」からは,設置根拠の如何を問わず,その回避の回避は難しい環境にあるとも考えられなくもない.今後の同市の「付属機関」の設置根拠の変更も行われるのだろうか,要観察.

*1:木村俊介「附属機関・専門委員」高部正男編著『執行機関』(ぎょうせい,2003年)178頁

執行機関 (最新地方自治法講座)

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*2:宇賀克也『地方自治法概説第4版』(有斐閣,2011年)243頁

地方自治法概説 第4版

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*3:前傾注2・宇賀克也2011年:243頁

*4:新川敏光, ジュリアーノ ボノーリ『年金改革の比較政治学』(ミネルヴァ書房,2004年)303頁

年金改革の比較政治学―経路依存性と非難回避 (ガヴァナンス叢書)

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