農業離れを防ぎ、農地保全につなげたいと、海老名市は14日、農機具の無料貸し出しを始めた。同様の事業は農業公社やJAなどが行っているが、市町村が行うのは県内では初めてで、全国的にも珍しいという。
 貸し出しは市内農家や家族が対象で、講習会を受ければ原則的に1反当たり3時間利用できる。最大1日まで可能。市は中型トラクターと田植え機を3台ずつ、大豆などの収穫に使う汎用(はんよう)コンバイン機1台を購入した。市によると、市内には実質的に約700軒の農家がいるが、2010年末の市農業委員会の調査による台数はトラクター482台、田植え機354台、コンバイン179台。いまのところ貸し出しの申し込みはないが、農家を対象にした事前のアンケートでは「すぐにでも使いたい」との答えが50件以上あったという。機器の更新時期に高額な値段を理由に廃業してしまうケースがあり、今回の無料貸し出しで農業離れを防止し、さらには新規就農にもつなげたいと期待している。
 この日は同市社家の田んぼで納車式と操作講習会が行われ、式には関係者ら70人、講習会には近隣の農家ら25人が参加した。参加した農家は「都市に近い農地は狭いので、高額なトラクターを買うまでにはいかない。うちも田んぼ3反、畑5反でやっている。こういう制度は助かる」と話していた。市は秋をめどに、式会場近くにもみの乾燥や脱穀などを行うライスセンターを建設し、市南部の拠点とする予定。将来的には市北部にも建設する。問い合わせは、市農政課電話046(235)4844。

本記事では,海老名市における農機具貸出の取組を紹介.同取組の概要は,同市HPを参照*1
「農家の負担を減らすことで農地の保全を図」ることを目的に,同「市内農家およびその家族」を対象に「無償で農機具を貸し出し」する同事業.具体的には,「中型トラクターと田植え機が各3台」「菜種や大豆などの収穫の際に使用する汎用コンバイン機1台」の「計7台」*2が貸出されている.
同市の1985年と2005年の農業関連の統計の20年間を拝見させて頂くと,「農家数」は991戸,5,065名から444戸,2,040名とほぼ半減,「経営耕地規模別農家数」を拝見させて頂くと,「0.3ha未満」の農家数が271戸から6戸*3の現状にある.本記事を拝読させて頂くと,「機器の更新時期に高額な値段を理由に廃業してしまうケース」から,同取組による「農業離れを防止」も目的として実施されている模様.また,同記事では「新規就農にもつなげたい」との目的もあわせて紹介.同取組の貸出の際の要件,「市内農家およびその家族」からは,貸出は主に既存農家であることが想定されているとも考えらなくもないものの,「新規就農」への「誘因」*4にも結び付くことになると興味深そう.今後の農家数の推移も,要観察.

*1:海老名市HP(都市ブランドブログ「えびなデイズ」(海老名の魅力を発信)今月のえびなデイズ)「第889回 3月14日 農機具貸し出し事業をスタート

*2:前傾注1・海老名市(第889回 3月14日 農機具貸し出し事業をスタート)

*3:海老名市HP(市政・ビジネス統計データ海老名市の統計書(統計えびな)農業(平成22年版))「E 農業」

*4:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),92頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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