横浜市が県から権限と税財源を得たら、経済効果は約5兆円、二重行政の解消で県職員1200人を削減できる―。横浜市長の諮問機関「大都市自治研究会」(座長・辻琢也一橋大学大学院教授)は29日、第1次提言をまとめた。市は提言を踏まえ、2012年中に「横浜版特別自治市大綱」を作成する。「大阪都」構想が脚光を浴びる中、横浜独自の大都市像を具体化していく。
 辻座長は「県や周辺自治体にもメリットがあることを示しており、実現可能で現実的な提案」と話した。提言では、人口減少や超高齢化が進む中で、地域経済を活性化し、住民自治を強化する数少ない有望施策の一つが、政令指定都市横浜市)が広域自治体(県)から独立する「特別自治市制度」の創設だと強調している。横浜市が県の事務全てを処理し、県税徴収も行った場合、二重行政の業務効率化で住民サービスを低下させず県の一般職員2千人のうち約6割の1200人を退職不補充で減らせる。さらに政策の自由度が増すため、就労支援や職業訓練、保育サービス充実などで雇用が05年を基点に15年後には計48万人増えるなど市内の経済効果は3兆7千億円、市外は1兆2千億円と計約5兆円になる試算も示した。
 制度が実現すれば、県の予算額は約3割減るが、大半は教員の人件費や医療関係費など義務的経費が占める。県の投資的経費の構成費は2・6%増となり、財政負担も減るものと見込んでいる。住民自治の観点では、横浜市内の県議はなくす一方、区選出の市議による区議会の設置や区長公選などで地域主権を強化していくという。特別自治市を目指す林文子市長は「県や他都市にもプラスに働くことを示していただき、後押しになる。提言の趣旨を踏まえ大綱をつくっていく」と述べた。

本記事では,横浜市に設置された「大都市自治研究会」*1による提言内容を紹介.
2011年8月11日付の本備忘録でも記録した,同研究会.本記事以外でも,2012年3月29日付で産経新聞*2,2012年3月30日付では日本経済新聞*3でも報道.三記事ともに,同市が位置する神奈川県の「職員数」削減効果,「財政的負担」の軽減効果,経済効果を報道.3記事を拝読させて頂く限りでは,同研究会の提言は,大都市制度,そして,大都市制度を設けるための制度論に終始することがない,いわば「根拠が明確な政策と実践」(evidence-based poliy and practice)*4としての大都市制度論として,提言がまとめられている模様.たいへん興味深そう.なお,現在のところ,本記事で紹介されている「第1次提言」は,同市HPでは公表されていない模様,残念.公表後,要確認.