東三河に限定して観光や産業振興などに取り組む東三河県庁が二日、本格的にスタートし、豊橋市東三河総合庁舎で式典が開かれた。特定の地域に限って業務を行う県庁の設置は全国初。「西高東低」といわれる県内の格差解消を目指す。
 式典には、大村秀章知事や東三河八市町村の首長らが出席。知事は「東三河県庁は県を発展させる仕掛け装置。先導的プロジェクトを東三河から起こしていきたい」とあいさつ。自らが揮毫(きごう)した看板を除幕した。また県と市町村との協働を進める取り組みとして、県新城設楽農林水産事務所新城林務課が一日から、新城市森林課のある市鳳来総合支所で業務を開始。両者を合わせた新城森林総合センターの開所式も二日にあった。
 東三河県庁の創設は、大村知事が昨年二月の知事選で掲げた目玉施策の一つ。東三河に二十ある県の出先機関を束ね、保安林指定など百八の事務権限を本庁から移した。今後、市町村や民間組織と連携して将来ビジョンを策定する。 (曽布川剛)

本記事では,愛知県における出先機関の取組を紹介.
東三河地域の振興」を通じて,同「県全体のさらなる飛躍に向けた大きな柱」としつつ「地域資源を活かした振興施策推進の仕組み」として設置された「東三河県庁」.組織体制では,「東三河担当副知事を「本部長」」と置き,「東三河地域」に設置されている「地方機関の長を「本部員」」とする「地域におけるネットワーク型推進組織」*1
具体的な「地方機関」とは,豊橋市に設置されていた「県税事務所」「福祉相談センター」「農林水産事務所」「教育事務所」を「再編」した「東三河総局」,その他にも同市に設定されている「建設事務所」「港事務所」「港工事事務所」「水道事務所」,豊川市に設置されている「保健所」「高等技術専門校」「障害者職業能力開発校」,蒲郡市に設置されている「水産試験場」,新城市に設置されている「建築事務所」「保健所」「福祉相談センター」「農林・産業技術センター」と「東三河総局新城設楽振興事務所」,設楽町に設置されている「農林水産事務所」*2の15機関.また,「東三河総局」は「県民環境部」と「企画調整部」の「二部制」とし,後者には「政策立案機能と総合調整機能を備える」とされる「企画調整課」*3が配置.
また,「市町村とのさらなる協働」を進める」ことを目的として,同「県と市で所管区域が同一の分野」に関しては「庁舎等を共同利用(ワンフロア化)」を図られている.具体的には,新城市の産業・立地部森林課に関しては「愛知県新城設楽農林水産事務所新城林務課」が同「市鳳来総合支所に移転」,田原市の「社会福祉協議会等」に関して「愛知県豊川保健所田原保健分室」が同「市田原福祉センターに移転」,また,同「市産業振興部営農支援センター」が「愛知県東三河農林水産事務所田原農業改良普及課庁舎に移転」*4と,2市では,2つの組織で双方に移転が図られ,同一の庁舎内で業務が実施されることになる.興味深い.
まさに,「領域別」*5に設置された「東三河県庁」.組織設置後での,同領域内,そして,同県域内との実際の「共整合」*6の取組過程は,要経過観察.

*1:愛知県HP(東三河県庁のポータルサイト東三河県庁)「東三河県庁の概要

*2:愛知県HP(東三河県庁のポータルサイト東三河県庁東三河県庁の概要)「東三河県庁ネットワーク図

*3:愛知県HP(東三河県庁のポータルサイト東三河県庁東三河県庁の概要)「東三河総局の内部組織図

*4:愛知県HP(東三河県庁のポータルサイト東三河県庁東三河県庁の概要)「県と市の庁舎の共同利用(ワンフロア化)について

*5:金井利之「空間管理」森田朗編著『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)166頁

行政学の基礎

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*6:J.D.トンプソン『行為する組織』(同文館出版,2012年)209頁

行為する組織 ?組織と管理の理論についての社会科学的基盤?

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