足利市は13日、電力使用量をリアルタイムで監視できる「デマンドメーター」を、市内公共施設と小中学校の計75カ所に整備、各施設をネットワーク化する事業を夏にも実施すると発表した。節電を徹底することで年間約1千万円の削減を見込んでおり、削減した電気代を一般家庭の太陽光発電システム設置補助などに充てる。市によると、市全域を対象にした節電の取り組みは全国で初めてという。
 東日本大震災を受け、被災地域を対象に総務省が進める「スマートグリッド通信インターフェス導入事業」の補助事業として実施。事業費は約1億500万円で、全額が補助金として交付される。デマンドメーターは、市庁舎を含む34カ所に既に設置されているが、新たに公民館や保育所など41カ所にも整備する。核となる約50カ所をネットワークでつなぎ、市庁舎や市生涯学習センターに設置するモニターでチェックする。電力使用量の目標値を設定し、電力量が超えそうな場合に手動で制御する。
 一般家庭にもデマンドメーターを設置する計画で、モニターとなる10世帯を公募する。記者会見した大豆生田実市長は「原発事故以来、電力需給が厳しさを増している。電力使用量の『見える化』によって節電を進め、全国的なモデルケースにしたい」と話した。

本記事では,足利市における電力使用量の監視の取組方針を紹介.
同市では「足利市民総発電所構想」を提示.同構想では,「家庭や事業所,公共施設で太陽光発電システムなどを設置して電力を発電する」「創電(ポジワット)」,「公共施設や市民などが率先して電気を節約」し,「節電分は発電分と同じ価値」となることを想定した「節電(ネガワット)」,そして,「電力使用が少ない時に蓄電し,「太陽光発電で発電した電気や低料金の深夜電力を蓄えておく」「蓄電」の「3本電柱」(「さんぼんばしら」*1とお呼びする模様)から構成.
本記事で紹介されている「市内公共施設と小中学校の計75カ所」へ「デマンドメーター」を設置し,「ネットワーク」化を図り,「市庁舎や市生涯学習センターに設置するモニターでチェック」する仕組みは,「スマートグリッド通信インタフェース導入事業」として実施.電力使用量という「事実の提示」*2を図ることには,「需要者にも需要行動を変化」*3するような,「自律的に電気需要」を「コントロール*4の実施が企図される.ただ,本記事を拝読すると庁舎での電気使用へのコントロールは,「目標値を設定」のうえ「電力量が超えそうな場合」は「手動で制御」という,集権的なコントロールを採用される模様.
 同事業により「削減できた公共施設の電気料金相当分」は「市民」が「家庭用電力監視装置など」を「導入する際の設置費の補助事業」*5に充てる方針とのこと.「見える化」による電気使用量のコントロールとその成果は,要確認.

*1:足利市HP(組織でさがす環境政策課)「『足利市民総発電所構想』を推進します!

*2:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),95頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*3:高橋洋電力自由化』(日本経済新聞社,2011年)172頁

*4:前傾注3・高橋洋2011年:175頁

*5:前傾注1・足利(『足利市民総発電所構想』を推進します!])