県は19日、来春入庁する県職員の採用予定者数を発表した。大学卒業程度の1種・行政(一般事務)は前年の半数以下に抑制、受験者には「狭き門」となりそうだ。一方、ここ数年は合格者の3人に1人が内定を辞退する状況が続いており、県は優秀な人材の流出食い止め策を模索している。
 県によると、2013年度採用予定者は一般事務や専門職など26区分で計245人程度(前年比77人減)。大卒程度の一般事務職は前年比80人(53%)減の70人に縮小、技術系を含めた1種全体(119人)では同37%減らした。採用枠縮小の理由について、県担当者は「一昨年の不足を補った影響で前年の採用予定者数が多かった」と説明。厳しい財政状況はあるものの、退職見込み者数とのバランスからすれば「例年並み」という。
 一方、県の1種試験合格者が別の官公庁などを選ぶ割合(内定辞退率)は、08年度から毎年30%を超す状況が続いている。この4月に新採用職員となった11年度合格者(296人)は、32%に当たる96人が辞退。09年度は30%、10年度は41%に上り、10〜20%台で推移している横浜市と比べても高水準だ。県内3政令市と関東6県などは1次試験を同一日程にして競合を避けているが、辞退者は併願可能な東京都や東京23区などに流れる傾向が強いという。県は民間企業と試験時期を合わせた「早期枠」(30人)を設けるなど改善に乗り出しているが、「地方公務員志望者にとって東京は別格」(県人事委員会)との意識は根強い。都を上回る魅力で受験者を引きつける「マグネット力」が問われているようだ。

本記事では,神奈川県における職員採用予定者数を紹介.同数に関しては,同県HPを参照*1.Ⅰ種枠では,「行政」職が2011年度の150名から2012年度は70名と80名の減,一方,技術系職総体では40名から47名と7名*2の増で募集.
2012年4月2日付の本備忘録でも記録した,同県採用者内定の「辞退者」に伴い,「新年度を「定員割れ」で迎えることが多い」との報道.2010年8月11日付同年10月3日付同年12月10日付同年12月29日付2011年1月31日付同年7月13日付同年12月2日付同年12月11日付同年12月11日付の各本備忘録で記録した,職員採用試験の合格者数,内定者数,採用者数との間で生じる「ディレンマ」*3(トリレンマかな)に対して,募集数の入口段階での規制を置くことで,予防的な調整を図られる模様.
方や,本記事の後段では,「併願可能な東京都や東京23区などに流れる傾向」を紹介されており,あわせて,両傾向に対する「マグネット力」の必要性も指摘.なるほど,翻って考えて見れば,複数合格者の辞退傾向は,「福祉の磁石」*4論ならぬ,東京の磁石論,「首都」の磁石論,又は,「財政余剰」*5の磁石論とでも理解できそうか.辞退者の選考理由の把握もできると,上記のディレンマ(トリレンマ)の予防にも結び付きそうか.

*1:神奈川県HP(神奈川県記者記者発表資料記者発表資料 県政記者クラブ2012年度の一覧平成24年度神奈川県職員採用試験の採用予定者数が決まりました 平成24年4月19日)「平成24年度神奈川県職員採用試験の採用予定者数(23年度との比較)

*2:前傾注1・神奈川県(平成24年度神奈川県職員採用試験の採用予定者数(23年度との比較))

*3:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)24頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

*4:真渕勝『行政学』(ぎょうせい,2009年)391頁

行政学

行政学

*5:金井利之「東京都性論 ―あるいは人間不在の都政」飯尾潤,苅部直,牧原出編著『政治を生きる 歴史と現代の透視図 (中公叢書)』(中央公論新社,2012年)156頁

政治を生きる――歴史と現代の透視図 (中公叢書)

政治を生きる――歴史と現代の透視図 (中公叢書)