政府は16日、国の出先機関改革の推進委員会(委員長・川端達夫総務相)の会合を開き、出先機関の地方移管に関する特例法案の骨子を提示した。国が移管認定を取り消せる規定や、法的拘束力のある指示など国が移管後も地方側の業務運営に関与できる規定を明記している。政府は6月上旬にも法案を提出する考えだが、地方側は国の関与を最小限にするよう求めており、議論が難航する可能性もある。
骨子によると、出先機関の受け皿となるのは各出先機関の管轄区域の都道府県などで構成する「特定広域連合」とする。地方移管の対象は、国土交通省地方整備局、経済産業省経済産業局、環境省地方環境事務所の三つの出先機関。国は移管後も、特定広域連合に対して法的拘束力のある指示や許認可を出せる。また、広域連合から構成自治体が脱退し出先機関の管轄区域をカバーできなくなったり、国の要求に従わず公益を害したりした場合は、移管認定を取り消すことができるとする規定も盛り込んだ。
本記事では,地域主権戦略会議内の「アクション・プラン」推進委員会における出先機関の地方移管に関する特例法案骨子の検討状況を紹介.同骨子の概要は,同委員会HP*1を参照.
同法案骨子では,出先機関の事務・権限の移管に際しては,「2以上の都道府県が加入する広域連合」であり「これを組織する都道府県の区域を合わせた区域が移譲対象特定地方行政機関の管轄区域」を包括する「特定広域連合」と「北海道及び沖縄県」*2をそれぞれ一つの区域として設定.本記事でも紹介されているように,その区域に関しては,「認定を受けた特定広域連合を組織する都道府県の区域を合わせた区域が認定事務等移譲計画に定める移譲対象特定地方行政機関の管轄区域を包括しなくなったとき」には,「認定は,その効力を失う」*3とも規定されており,特定広域連合から既存の出先機関の区域からの乖離する場合には,「事務等移譲計画」の「効力を失う」*4ともある.いわば,「区域的・垂直的権限配分方式」*5を採用される場合での「多機能中心の多目的区域」に基づくよりも,「単一機能中心の区域」を「同定」*6された制度.
一つ疑問.例え,このように特定広域連合の構成が変更され,移管計画の効力を失った場合,果たして,それらの事務等の担い手は何処に行くのだろうか.素直に考えれば,元の各出先機関に逆移管されることも考えられなくもない.そのような逆移管を予期する場合,各出先機関はフルセットで存置し続けられることも想定されているのだろうか.「アクションプラン」のそもそもはその副題からも「出先機関の原則廃止に向け」*7た移管であることを鑑みると,移管の受け皿論とともに,移管される注ぎ皿論に関しても,要確認.
*1:内閣府HP(内閣府の政策:地域主権改革:地域主権戦略会議:「アクション・プラン」推進委員会:第8回 「アクション・プラン」推進委員会(平成24年5月16日))「資料1−1 国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案(仮称)(骨子) 」
*2:前傾注1・内閣府(資料1−1 国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案(仮称)(骨子))1頁
*3:前傾注1・内閣府(資料1−1 国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案(仮称)(骨子))3〜4頁
*4:前傾注1・内閣府(資料1−1 国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案(仮称)(骨子))4頁
*5:姜光洙「総合調整主体 ―道州制論の可能性と限界性―」森田朗・金井利之編著『政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政―』(ミネルヴァ書房,2012年)84頁 政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政 (MINERVA人文・社会科学叢書)
*6:前傾注3・姜光洙2012年:85頁
*7:内閣府HP(内閣府の政策:地域主権改革:地域主権戦略会議:「アクション・プラン」推進委員会:第8回 「アクション・プラン」推進委員会(平成24年5月16日))「資料資料1アクション・プラン 〜出先機関の原則廃止に向けて〜 の概要及び本文」