県財政の再建に向けた意見をまとめる県の外部会議「県緊急財政対策本部調査会」(神奈川臨調=座長・増田寛也総務相)は26日、全ての県有施設について「3年間で原則廃止する」との方向性を打ち出した。県が所有を続けず、維持管理にも関わらないことを基本方針にし、補助金に関しても「全て一時凍結して見直すべき」と指摘。都内で開いた会合で全メンバーの意見がまとまった。7月の「中間まとめ」で明文化し、黒岩祐治知事に提言する。
 2回目となる臨調の議論では、県が施設を所有する必要性について、耐用年数などを踏まえた財政負担の視点で検討した。対象は県立図書館など県民利用施設(107施設)のほか、県税事務所や保健福祉事務所といった出先機関(132機関)、社会福祉施設(15施設)などで、学校と警察を除く全施設とした。増田座長は各委員から出された意見を総括し、「基本は原則全廃。県は(維持管理に)関わらないという強い意志で臨んでほしい」と強調。県に対し、(1)受益者負担(2)独立採算(3)指定管理者導入(4)民間への売却―などの視点で部局横断的に検討するよう求めた。検討期間は「黒岩知事の在任中」の3年間とした。
 約3時間に及んだ会合では、県が拠出する補助金のあり方、公私立学校の課題、人件費抑制策についても議論。各種団体に交付している総額736億円の県単独補助金に関しては、バブル期の1988年以前に制度化された補助金や少額のケースは「全廃を原則」とし、一時凍結した上で「知事のビジョンに沿って新たな補助制度をつくるべき」と結論付けた。会合後、記者団の取材に応じた黒岩知事は「期待通り、究極の結論に向かって知恵を絞ってもらえた」と評価。県有施設については「大変なことだと思うがダイナミックに動かなければ県財政は救えない」、補助金凍結に関しては「あらゆる猛反発に、どう向き合っていくか考えていきたい」と述べた。

本記事では,神奈川県の行政改革の取組方針の検討状況を紹介.
同県に設置されている「緊急財政対策本部調査会」*1.2012年5月26日に開催された第2回目の審議では,「「施策・事業」,「補助制度」等について」*2が「議題」と設定されており,同議題の下での審議結果を本記事では報道.「学校と警察を除く全施設」,つまり,「県民利用施設(107施設)」,「出先機関(132機関)」「社会福祉施設(15施設)」を対象に「必要性」を審議された結果,「「3年間で原則廃止」の「方向性」に至った模様.驚き.
第1回目の同調査会での知事発言に倣い,「かつての土光臨調になぞらえ」*3ていわば,「施設なき財政(県政)再建」の方針とも整理できそうか.「広域機能,連絡調整機能,補完機能」という法定上の三機能に加えて,「援護・支援機能」,「先導的機能」*4の経験上の機能など,様々な機能を内包するとも解される都道府県機能.施設がなくとも,これら機能が実施が可能とすれば,元来,都道府県機能とは,物的な場や空間がなくとも,実施が可能な機能であった,とも理解することが適当なのだろうか.来年度の講義(演習)での素材としようとも考えている,施設管理と自治体との関係からも,考えさせられる報道.なお,同回の同調査会の詳細は,現在のところ,同県HPでは確認できず.公表後,要確認.