広島県湯崎英彦知事と広島市松井一実市長は31日、県庁で会談した。産業振興や教育など4分野で、県と政令指定都市の二重行政の解消を進めることで合意した。県と市で重複する仕事や施設を洗い出す作業が、予定よりずれ込んでいることも明らかにした。
 (1)公営住宅(2)産業振興(3)観光(4)教育―の4分野。松井市長は「県民、市民の利便性向上、費用対効果といった視点を踏まえて選んだ」と説明。湯崎知事は「4分野以外も順次、追加してはどうか」と提案した。
 公営住宅で県と市は既に、県営基町住宅(中区)の解体と市営吉島住宅(同)の建て替えに伴う居住者の移転先として、空室を融通し合うことで合意している。今後は範囲を広げ、県営住宅と市営住宅の募集や管理・運営なども一元化できないか検討する。産業振興は、中小企業支援や医療・環境産業育成での協力を想定。観光では、市が県のキャンペーン「おしい! 広島県」への乗り入れを進める。教育は、図書館業務や生涯教育分野の一元化などを検討。引きこもりの人や家族の相談窓口となる「ひきこもり地域支援センター」の運営を一本化することも正式に合意した。
 二重行政の解消をめぐっては、県と市が2月に事務レベルの研究会を設置。この日は、トップ会談に先立ち第2回会合があった。今回までに、重複する事業や施設を全て洗い出す予定だったが、作業はまだ終わっていないという。松井市長は会談後、「作業を終えたら説明したい」と強調。現段階の状況は明らかにしなかった。

本記事では,広島市広島県における「二重行政」の検証作業の途中経過を紹介.2011年11月19日付の本備忘録で記録した同取組.
広島県広島市連携のための合同研究会」を2月13日に設置され,同市と同県では,「それぞれ実施している類似の事務事業等」を「調査・分析」し,「その事務事業等に係る県・市の連携や役割分担を整理」*1を進められている.両市・県のHPでは,同合同研究会の詳細は把握できないものの,第1回の同会の開催案内からは,同市は「企画調整部長,調整担当課長,行政改革推進課長ほか」と企画系及び行革系のライン 同県からは「地域振興部長,地域政策課長,分権改革課長ほか」が出席されたことは分かる.本記事では,2012年5月31日に開催された「広島県知事・広島市長会談」*2での会談内容を報道.本記事からは,同合同研究会では,「公営住宅」「産業振興」「観光」「教育」の4分野を対象とされており,そのスケジュール感としては,同「会談に先立ち」開催された同合同研究会の「第2回会合」までには「重複する事業や施設を全て洗い出す予定」ではあったようである.ただし,あわせて「作業」段階で留まっていることも報道.
2012年4月21日付の同紙の報道では,当初同「県から一本化を打診」されていた,ともされる「「ひきこもり地域支援センター」の設置」に関しては,同「市は家庭訪問に力を入れる運営方針を強調」,一方,同「県は,医療機関などの関係機関に橋渡しする役割を重視」*3したこと,また,2012年4月5日付の同紙の報道では,同センターは都道府県と政令指定都市に設置ができるため,同市側でも「NPO法人に業務を委託し」「センターの運営方法が固まっている」*4こともあり現状点からの変更が困難であることなどの指摘もあり,結果的には同「県側が「一本化は困難」と最終的に判断」*5とも報道されていた.しかし,本記事を拝読させて頂くと,同センターの「運営を一本化することも正式に合意」とも報道されている.
合同研究会に出席されている「交渉代理人*6たる各職員の方々による調整結果から,同会談における「統轄代表の「「大括り化」指向」*7としての合意までの間,どのような調整が図られたのだろうか.要確認.