京都市の新景観政策に違反する屋外広告物の解消に向け、門川大作市長は6日の定例記者会見で、事業者が違反看板の除去や改修に要する費用を支援する低利融資制度を創設し、9月市議会に補正予算案を提出する方針を明らかにした。
 市は屋外広告物を規制する経過措置が終わる2014年8月までに違反状態「ゼロ」を目指している。これを達成するため、屋外広告物がある市内4万カ所を対象に、10月から市職員が是正指導する「ローラー作戦」を展開するととともに、毎年3月と9月を適正化強化月間と定め指導する。費用負担を理由に改善が進まない現状を踏まえ、看板の改修費用を低利で貸し付ける融資制度も年度内に設ける。また、事業者に対する制度の周知を図るため、府広告美術協同組合(上京区)内に10月末まで相談窓口を設けるほか、今月下旬から9月下旬の間、市役所・支所で制度の説明会も開催する。
 一方で基準を満たしていなくても、歴史的意匠を用いていたり、公共性がある広告物で景観上支障がない場合に限り、改善を求めない特例許可制度の適用も検討する。専門家による審議会で秋にも運用基準を決定し、事業者の申請に基づき審議会が個別に判断する。市条例では、建築物の屋上広告物や可動式照明などを用いた屋外広告物を市内全域で禁止し、市内21地域で看板の大きさや色彩などの基準も設けた。
 門川市長は「屋外広告物は都市景観を形作る重要な要素。京都のまちと一体となった看板の広がりが、都市格の向上につながる」と話した。

本記事では,京都市における屋外広告物規制の実施方針を紹介.
2012年5月17日付の本備忘録では,同市が取り組む,屋外広告物への「ローラー作戦」の実施方針を記録.本記事では,2012年6月6日付の同市長記者会見で,違反看板の除却や改修に要する費用への「融資制度」,歴史意匠および公共性がある広告物等への改善を求めない「特例許可制度」も併せて整備される方針であることが説明されたことを報道.同記者会見の内容は,現在のところ掲載されていない模様.公表後,要確認*1
広告物の掲示とその規制という繰り返しのゲームのなかでの均衡解を探り,屋外広告物への規制は,うながし(nudge)とおはなし(think)以外にも「住民側のより良い選択のための条件づくり」*2のためは,金銭的動機付けと現状維持というオプションもまた,住民側の行動変容も期待される.同市が整備される融資制度の利用状況,特例許可制度の対象となる屋外広告物の範囲と量は,要観察.

*1:京都市HP(市の組織総合企画局各課の窓口広報担当市長記者会見)「市長記者会見(2012年度一覧)

*2:John,Peter et al. (2011),Nudge, Nudge, Think, Think: Using Experiments to Change Civic Behavior,Bloomsbury Publishing PLC:24

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