札幌市は、公文書の保存や廃棄の仕組みを定めた公文書管理条例を制定する。13日の定例市議会本会議で条例案が可決され、来年4月施行の見通し。期限を設けずに保存する「永年保存」の区分がなくなることから、重要文書の廃棄を懸念する声もある。
 既に同条例を制定している政令指定都市大阪市のみ。道内の自治体では後志管内ニセコ町だけ。条例では公文書を「市民の知る権利を具体化するために必要な市民共有の財産」と定め、10年を超す保存をすべて「永年保存」としてきた現行ルールを改め、30年で廃棄か引き続き保存かを判断する。
 保存文書の公開は「時の経過を考慮する」とし、情報公開条例で非公開と判定される個人情報なども公開する可能性を示唆した。ただ、2001年の情報公開法制定に伴い国が文書の保存年限を「永年」から「30年」に変更後、各省庁で永年保存文書の大量廃棄が問題になっている。

本記事では,札幌市における公文書管理に関する条例案について紹介.同条例に関しては,同条例案段階でのパブコメ用資料を参照*1
同条例の制定により,「各実施機関」「ごとの規則等で定め」られてきた「公文書管理の基本的ルール」を「統一的に規定」*2.また,本記事で紹介されている保存期間に関しては,なるほど,確かに,実施機関が「簿冊等の保存期間を設定する基準」は「実施機関が定める規則により定め」,「保存期間の区分」は「原則30年を最長」*3とされており,「保存期間が満了した簿冊等」は「市長に移管するか,廃棄」*4という選択の分岐に至る.「公文書管理はあくまで行政管理」として用途から「住民のための管理」*5ともなりそうな条例化.本記事にて報道されているように「重要文書の廃棄」という選択に至るのか,条例制定後の運用状況も,要経過観察.

*1:札幌市HP(市政情報政策・企画・行政運営公文書館基本構想の推進・公文書管理 公文書管理条例(仮称)素案への意見募集の結果について)「札幌市公文書管理条例(仮称)素案についてご意見を募集します

*2:前掲注1・札幌市(札幌市公文書管理条例(仮称)素案についてご意見を募集します)1頁

*3:前掲注1・札幌市(札幌市公文書管理条例(仮称)素案についてご意見を募集します)3頁

*4:前掲注1・札幌市(札幌市公文書管理条例(仮称)素案についてご意見を募集します)4頁

*5:瀬畑源『公文書をつかう』(青弓社,2011年)290頁

公文書をつかう: 公文書管理制度と歴史研究

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