広島市と広島労働局は5日、ハローワークの窓口を南、佐伯両区役所に今月下旬から開設する協定を結んだ。最終的にハローワークの仕事と権限を丸ごと引き受けたい市と、市への全面移管に否定的な労働局。両トップは握手を交わしたものの、思惑の違いをあらためて鮮明にした。
 市役所での協定締結式には松井一実市長と勝田智明局長が出席。区役所の窓口の名称を「『福祉から就労』支援窓口」などと定める協定書にサインした。協定に基づくハローワーク窓口は、生活保護受給者など福祉的な支援が必要な人を対象とする。週2日の臨時窓口としてスタート。労働局職員2人が求職者の相談に応じる。来年1月から常設窓口とし、求人情報端末などを備える予定だ。今後の展開で両者のスタンスは異なる。市は国の出先機関の原則廃止を掲げる政府に、ハローワークの仕事と権限を丸ごと移すよう提案。来年度以降、残り6区役所にも窓口を広げ、全ての市民が利用できるようにする構想を描く。一方、労働局は2区役所での成果を検証した上で市との連携の在り方を考える、との慎重姿勢を崩さない。
 松井市長は締結式で「住民目線で掘り下げると、生活保護を申請する前の段階から就労を支援するべきだ」と主張。勝田局長は返答しなかった。終了後、勝田局長は「全ての業務を区役所の窓口で担うのは困難だ」と述べ、市の構想に否定的な見解を示した。

本記事では,広島市におけるハローワーク窓口設置の取組を紹介.
2012年1月18日付の本備忘録にて記録した,同市のハローワーク窓口の設置方針.本記事を拝読させて頂くと,2012年7月5日付で広島労働局との間で協定を締結.同備忘録内でも記録した地域主権戦略会議内の「アクション・プラン」推進委員会」に設置された「公共職業安定所(ハローワーク)チーム」が取り組む「アクション・プランを実現するための提案(公共職業安定所)」では,同市の提案に対しては,「平成24年6月18日現在」,「ハローワークのサテライト窓口を区役所に設置」し「福祉支援を必要とする区民を対象に」「市の行う福祉事業と国の行う職業紹介事業を一体的に実施」することを「平成24年7月から実施予定」として「準備中」*1とも掲載.同協定の内容は,現在のところ,同市HPでは確認できず,残念.
一方,広島労働局HPでは,同取組の概要は確認ができる.まず,「就労支援の対象者」は,「生活保護受給者、児童扶養手当受給者、住宅手当受給者等」となり,具体的な「事業内容等」は,「区役所へのハローワークシステム等の設置が完了するまでの間」に「ハローワークの職員2名」が「週2日区役所を巡回」し「職業相談・職業紹介等を実施」する「巡回型サテライト窓口」を,2012年7月から「事業開始」.その後,「区役所へのハローワークシステム等の設置完了後」には,「ハローワーク職員2名が区役所へ常駐」し,「8月6日」と「祝日及び年末年始を除く」「月曜日から金曜日」の「毎日」「職業相談・職業紹介等を実施」する「常設型サテライト窓口」を,2013年1月から「事業開始」*2であることが分かる.嘗ての「地方事務官制度」では指揮監督の権限は,首長へと付与されていたものの,今回の取組では監督権限は残置されているのだろうか,要確認.「本庁・本省とすれば「分離」的とも整理ができる両機関分離」機関間での「融合」*3化の今後の実施過程も要経過観察.