非婚家庭は対象外となっている寡婦控除について、うるま市糸満市は26日までに、公立・認可保育所の保育料を減免する「みなし適用」を2012年度から導入することを決めた。琉球新報のまとめでは、同日までに、県内41市町村中、両市と既に導入している6市町のほか、10市町村が「みなし適用」導入を検討している。関係者からは「母子家庭を婚姻歴の有無で区別しない考え方が市町村レベルでは広がりつつある」と評価した。
 寡婦控除は、配偶者と死別もしくは離婚し、年間所得が500万円以下で扶養する子がいる世帯の所得税や住民税を控除する税制優遇措置。しかし非婚家庭には適用されず、課税対象所得が多く見積もられることで、公立・認可保育園の保育料や公営住宅の家賃などが高く設定される。非婚家庭でも保育料減免を同様に扱う「みなし適用」は、11年度に宜野湾市、12年度は那覇市沖縄市北谷町で導入され、うるま、糸満両市も対象者からの申請を受け今年4月までさかのぼって減免措置を適用する。西原町今帰仁村は来年度の導入を予定。その他、石垣市浦添市豊見城市宮古島市南城市読谷村南風原町八重瀬町で検討中だという。竹富町与那国町は、11年度以前から婚姻歴の有無を問わず母子家庭の保育料は無料だった。
 しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄の秋吉晴子代表は「みなし適用の広がりは当然の流れだ。こうした市町村の変化を『寡婦』の定義を定める国の法律改正につなげたい」と話した。

本記事では,うるま市糸満市における寡婦(夫)控除の取組を紹介.
「平成21年度「離婚に関する統計」の概況」を拝読させて頂くと,「平成20年の協議離婚の割合」では「最も高いのは沖縄で92.0%」*1と,離婚率のみからひとり親家庭率の増加も推論される同県.方や,本記事内で紹介されている宜野湾市の取組を確認させて頂くと,「寡婦控除は婚姻していたことが条件となるため」「同じ「ひとり親世帯」」であっても,「婚姻していたか否か」で「税を決定する際に控除が受けられる方と受けられない方が」生じることになり,「不公平であるとの意見」*2がある,という.
寡婦(夫)控除という「個人単位モデルへの移行」*3を図る場合にも,「既存の政策編制ではうまく対処できない」*4控除の差異も生じていれる.そこで,宜野湾市では,「「婚姻によらずにひとり親となった方(税法上の寡婦控除の対象外の方)」に対しても、寡婦控除をみなし適用し、保育料を算定」*5し,対応を図られている.「寡婦(夫)」概念と政策が向かう現実との間での再編も考えさせられる課題.

*1:厚生労働省HP(統計情報・白書 各種統計調査結果厚生労働統計一覧人口動態統計特殊報告離婚に関する統計平成21年度「離婚に関する統計」の概況)「離婚の年次推移

*2:宜野湾市HP(各課のページ 福祉保健部 保育課トップページ )「寡婦控除のみなし適用について

*3:横山文野『戦後日本の女性政策』(勁草書房,2002年)402頁

戦後日本の女性政策

戦後日本の女性政策

*4:金井利之「政策変容と政界再編・省庁再編」森田朗・金井利之編著『政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政―』(ミネルヴァ書房,2012年)9頁

*5:前掲注2・宜野湾市寡婦控除のみなし適用について)